肝臓は食事の間の血糖をどう保っている?午後のだるさとの関係

食事と食事の間や眠っている間、血糖を一定の範囲に保っているのは、主に肝臓です。肝臓は食後に余った糖をグリコーゲンとして蓄え、血糖が下がってくると、グリコーゲンをブドウ糖に戻して血液に送り出します。この蓄えと送り出しが追いつかないと、午後に血糖が下がりすぎたり、糖が足りなくなったりして、だるさや眠気として感じることがあります。
もちろん、午後の失速には睡眠不足や疲れ、体内時計による昼過ぎの眠気など、ほかの理由も重なります。それでも、健康診断で異常なしと言われたのに毎日のように午後に力が抜けるなら、肝臓の血糖の仕事にも目を向けてみる価値があります。
食後の糖は、まず肝臓に届く
腸で吸収されたブドウ糖は、門脈(もんみゃく)という血管を通って、全身をめぐる前にまず肝臓へ届きます。食後に血糖が上がると、膵臓からインスリンが出ます。肝臓はインスリンの合図で糖を取り込み、グリコーゲンに組み立てて蓄えます。
筋肉もグリコーゲンを蓄えますが、筋肉の蓄えはその筋肉が動くときに使うもので、血液には戻せません。血液に糖を送り出して血糖を支えられるのは、主に肝臓です。
ただし、肝臓が蓄えられる糖の量には限りがあります。蓄えきれなかった糖は、肝臓で中性脂肪に作り替えられます。
食事の間と夜は、肝臓が血糖を支えている
では、食べていない時間はどうなるのでしょうか。
食後しばらくして血糖が下がり始めると、膵臓からグルカゴンというホルモンが出ます。肝臓はグルカゴンを合図に蓄えたグリコーゲンを分解し、ブドウ糖として血液に送り出します。
眠っている間は、一日でいちばん長く食べない時間です。グリコーゲンの蓄えは一晩で大きく減るので、肝臓は筋肉由来のアミノ酸や乳酸、脂肪が分解されてできるグリセロールから、新しくブドウ糖を作ります。これを糖新生(とうしんせい)と呼び、一晩たつと血液に出る糖の半分ほどを担うとされます。
肝臓から出る糖が足りないとき、体は副腎からアドレナリンやコルチゾールを出して血糖を引き上げます。お酒を飲んだ夜は、アルコールの処理で糖新生が抑えられ、夜中に血糖が下がりやすくなります。夜中に目が覚めることとの関係は、夜中に目が覚めがちな人が、食事で気をつけたいことに書きました。
午後のだるさには、二つの形がある
午後のだるさと血糖の関係は、時間帯で二つに分けると分かりやすくなります。
一つめは、昼食から1〜2時間後の強い眠気です。精製された糖質を多くとると血糖が急に上がり、インスリンがたくさん出ます。インスリンが多く出ている間、肝臓は糖を送り出すのを止めて蓄えに回るので、そのあと血糖が下がりすぎることがあります。
二つめは、昼食から時間がたった夕方前のだるさです。食事の間隔が長い日や、糖質を強く控えている日は、肝臓の蓄えと糖新生だけでは血糖を保ちきれなくなることがあります。このとき、甘いものが急に欲しくなることがあります。
肝臓に脂肪がたまると、調整が乱れやすい
さらに気をつけたいのが、肝臓に脂肪がたまってきた場合です。お酒を飲まない人でも、糖質の多い食事や甘い飲み物が続くと、使いきれない糖が脂肪に変わって肝臓にたまります。
肝臓がインスリンに反応しにくくなると、糖から脂肪を作る働きが進みます。血液検査では、中性脂肪が上がり、HDLコレステロールが下がり、ALTがASTより高くなる形で表れやすくなります。
血液検査で見る項目
肝臓の血糖の仕事は、一つの数字では分かりません。精密栄養学では、次の項目を並べて見ます。
HbA1c:過去1〜2か月の血糖の平均に近い数字です。目安は5〜5.3%です。
空腹時血糖:採血した時点の値で、夜の間に肝臓が保った血糖が表れます。目安は80〜90 mg/dLです。
AST・ALT:アミノ酸を組み替える酵素で、ALTは糖新生にも使われます。目安はどちらも20〜22 U/Lで、二つがそろっている状態です。
中性脂肪:糖の余りが脂肪に変わっていないかを見ます。目安は70〜90 mg/dLで、低すぎるときはエネルギーの不足を考えます。
空腹時インスリン:測っている場合は、目安の2〜4 µU/mLと比べます。血糖とHbA1cが目安の範囲でも、インスリンが高めなら、多くのインスリンを使って血糖を保っていることを考えます。
これらは精密栄養学の目安で、病気の有無を判定するものではありません。健康診断で指摘を受けた値がある方や、動悸や冷や汗、手の震えをくり返す方は、医療機関にご相談ください。
肝臓の仕事を助ける、毎日の工夫
肝臓を助けるには、一度に多くの糖を流し込まないことと、糖が足りない時間を長く作らないことの両方が大切です。
甘い飲み物やジュースを、水やお茶に替える
朝食を抜かず、食事の間隔を空けすぎない
糖質を極端に控えず、ご飯や芋を適量とる
週に2日以上は、お酒を飲まない日を作る
食後に10分ほど歩き、筋肉に糖を使ってもらう
食べる順番や組み合わせは、血糖値の急な上下を防ぐ食べ方に詳しく書きました。
肝臓は、多少無理がかかっても痛みでは知らせてくれません。それでも、午後の体の感じ方と検査の数字を並べてみると、肝臓がどれくらい余裕を持って働いているかが見えてきます。まずは一週間、昼食の中身と、眠くなった時刻をメモに残してみてください。
※ この記事は、精密栄養学の考え方にもとづく一般的な情報です。病気の有無を判定したり、治療を行ったりするものではありません。体の感じ方には個人差があります。気になる症状がある時は、自己判断なさらず、医療機関にご相談ください。