血糖値の急な上下を防ぐ食べ方

血糖値の急な上下を防ぐ基本は、糖質だけを単独でとらないことです。食事は野菜や海藻から食べ始め、肉や魚、卵を食べてから、ご飯やパン、麺に進みます。あわせて食事の間隔を空けすぎず、夜遅くの糖質と甘い飲み物を控えると、食後の上がり方もその後の下がり方もゆるやかになります。
どれも特別な食品は要りません。ここでは、順番、組み合わせ、時間帯の三つに分けて具体的な食べ方をまとめ、最後にCGM(持続血糖測定)で自分の反応を確かめる方法に触れます。
食後の血糖は、上がったあとに下がりすぎることがある
精製された糖質を空腹の状態で多くとると、血糖は急に上がります。この急な上昇は、血糖値スパイクと呼ばれます。膵臓はそれを下げるためにインスリンをたくさん出すので、そのあと血糖が下がりすぎることがあります。
血糖が下がりすぎたときには、強い空腹感や甘いものへの欲求、イライラ、集中の切れ、手の震えなどが出ることがあります。ただ、食後の眠気には食べた量や体内時計も関わるので、すべてが血糖のせいとは限りません。食事の間の血糖を支える肝臓の働きは、肝臓は食事の間の血糖をどう保っている?に書きました。
順番:野菜から食べ始め、ご飯は最後に
同じ献立でも、食べる順番で血糖の上がり方は変わります。食物繊維は、糖が腸から吸収される速さをゆっくりにします。肉や魚のたんぱく質と脂質は、胃から腸へ食べ物が送られる速さをゆるやかにします。
定食なら、サラダや小鉢、味噌汁の具を先に食べ、次に肉や魚、最後にご飯という順です。よく噛み、1食に15分以上かけることも大切です。急いで食べると、短い時間に糖がまとめて入ってきます。
組み合わせ:糖質を一品で終わらせない
では、忙しい日の昼食はどうすればよいのでしょうか。おにぎりだけ、菓子パンだけ、麺だけになりがちな日ほど、一品足すことを考えます。
おにぎりには、ゆで卵や味噌汁、納豆を足す
麺類は、肉や卵、野菜の具が多いものを選ぶ
主食は、白米を玄米や雑穀米と半々にするなど、精製の少ないものを選ぶ
海藻やオクラ、もずくの酢の物など、水に溶ける食物繊維や酢を一品加える
水に溶ける食物繊維は、腸内細菌に発酵されて短鎖脂肪酸になり、GLP-1という血糖の調整に関わるホルモンの分泌にも関わるとされます。サイリウムなどの食物繊維を食前にとる方法もありますが、その場合は水を十分に飲み、薬とは時間をずらしてください。
甘い飲み物は、液体なので糖が一気に吸収されます。お菓子を我慢するより先に、まず飲み物を替えるほうが続けやすい工夫です。
時間帯:朝、間食、夜で気をつけること
朝は、ひと晩食べていない状態です。少量でも味噌汁やおにぎり、卵などを口にしておくと、昼食で急に上がるのを防ぎやすくなります。
食事の間隔を空けすぎるのも、波を大きくします。昼から夕食まで何も食べずにいると、疲れと空腹が重なり、夕食で大きく上がりやすくなります。間食をするなら、甘いものより、ゆで卵やナッツ、温かいスープを選びます。
夜は、同じ食事でも血糖が上がりやすい時間帯です。夕食が遅くなる日は量を控え、ご飯を少なめにします。お酒は寝る前を避け、飲むなら食事と一緒に早めの時間にします。食後に10分ほど歩く、その場でスクワットをするといった軽い運動も、筋肉が糖を使うので役に立ちます。
糖質をゼロにしない
血糖を気にするあまり、糖質を極端に減らす方もいます。ところが糖質を長く避け続けると、少しの糖質でも血糖が大きく揺れるようになったり、疲れやすくなったりすることがあります。体が筋肉を分解して糖を作る場面も増えます。
目指すのは、糖質をなくすことではありません。量を整え、単独でとらず、精製の少ないものを選ぶことです。
CGMで、自分の反応を確かめる
同じものを食べても、血糖の上がり方は人によって大きく違います。そこで役に立つのが、腕にセンサーを着けて血糖の動きを記録し続けるCGMです。
確かめるときは、一度に一つだけ変えます。同じ昼食を、ある日はご飯から、別の日は野菜から食べて比べます。見るのは、一点の高さより、高い状態がどれくらい続いたかと、2〜3時間後に下がりすぎていないかです。1日だけで決めず、数日から2週間ほどの傾向で見てください。
CGMの値は、血液より5〜15分ほど遅れて表れます。着けた初日や、寝ている間にセンサーを体で押さえたときは、実際より低く出ることもあります。体感と合わない低い値が出たときは、指先の採血で確かめます。使い方は血糖値を自分で測るには?にまとめました。
血液検査では、HbA1cと空腹時血糖が手がかりになります。精密栄養学の目安は、HbA1cが5〜5.3%、空腹時血糖が80〜90 mg/dLです。CGMは国によって入手の方法が違うので、取扱いの説明や医療機関の案内に従ってください。血糖を下げる薬を使っている方は、食事を大きく変える前に医師に相談してください。
一つずつ、8割で続ける
全部を毎食守る必要はありません。野菜から食べる、飲み物を替える、朝に少し食べる。このうち一つから始め、8割できていれば十分です。午後の体の軽さがどう変わるか、一週間ほど様子を見てください。
※ この記事は、精密栄養学の考え方にもとづく一般的な情報です。病気の有無を判定したり、治療を行ったりするものではありません。体の感じ方には個人差があります。気になる症状がある時は、自己判断なさらず、医療機関にご相談ください。