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肝臓の解毒の滞りが、だるさや不調の原因?

休んでも抜けないだるさ。

頭にかかった霧のような重さ。

以前よりお酒が残るようになった。

流行りのデトックスを試しても、すっきりしない。

精密栄養学の視点でこれらを見ていくと、肝臓の「解毒」という働きの滞りが浮かび上がってくることがあります。

前回は肝臓のエネルギー生成や糖の代謝についてのお話をしました。

今回は肝臓のもう一つの重要な役割である「解毒」について見ていきましょう。

解毒というと、体に入った毒素を一気に体の外へ流すイメージがあるかもしれませんが、実際には大きく分けると2段階のプロセスがあります。

まずは「変換」を担うフェーズ1。薬やアルコール、体内で生じた老廃物などを、酵素が化学的に作り変えるプロセスです。ただし、このフェーズ1では「毒素を消す」のではなく、「大まかに分解する」だけの途中段階です。

次に毒素や有害物を実際に「水に溶かして排出する」フェーズ2があります。解毒の主役となる物質であるグルタチオンなどと結びつけて、水に溶けやすい形へと変化させます。このプロセスには、アミノ酸やビタミンB群、マグネシウムといった材料が必要です。

そして最後に、それを運び出す「経路」が必要になります。

解毒の後半を担う、「胆汁」という運び役

水に溶けにくい老廃物の運び役が、胆汁(たんじゅう)という消化液です。

そしてこの胆汁には、二つの働きがあります。

ひとつは、消化を助ける働き。脂肪を細かい粒に乳化し、脂溶性ビタミン(A・D・E・Kなど、脂に溶けるビタミンのこと)の吸収を支えます。

もうひとつは、排泄の働き。フェーズ2で処理を終えた毒素や老廃物を、便とともに腸へ送り出す役目を担います。

つまり、胆汁の流れが滞ると、せっかくの解毒のプロセスも、出口で滞ってしまいます。解毒がうまくいくかどうかは、それを支える材料が揃っているだけでは不十分で、この出口がうまく機能しているかが重要なのです。

出口の荷物が、戻ってくることがある

ここで知っておきたいのが、腸肝循環(ちょうかんじゅんかん)です。胆汁は腸で役目を終えると、その多くが再び吸収されて肝臓へ戻り、繰り返し使われます。

ところが腸の流れが滞ったり、便通が乱れたりすると、いったん胆汁にのせて送り出したはずの毒素や有害物、老廃物の一部が再吸収の流れに巻き込まれ、肝臓へ逆戻りすることがあります。

だからこそ、便通を整え、腸の状態を整えることが、そのまま解毒の後押しになるのです。

出口の状態は、血液検査からも読める

健康診断の数値も、解毒という切り口で見ると解釈の仕方が変わってきます。

γ-GTP(ガンマ・ジーティーピー):
アルコールや薬の影響、胆汁の流れの滞りに反応しやすい数値です。グルタチオンの代謝にも関わる酵素のため、お酒を飲まないのに高い場合、解毒の負荷や酸化ストレス(体内の酸化ダメージが処理しきれずに、たまった状態)が背景にあることもあります。

γ-GTPは低い分には、一般的には問題視されないことがほとんどです(むしろ酸化ストレスが少ないサインとされることも)。一方で精密栄養学では、極端に低い場合に、グルタチオンを回す力やビタミンB6などの材料が不足している可能性を、ひとつの仮説として見ることがあります。ただしこれは確立した基準ではなく、他の数値や体調と併せて解釈するための、一つの視点にすぎません。

ALP(アルカリホスファターゼ=胆道の流れを映しやすい酵素):
解毒の出口である胆道の滞りを表す指標として使われる。ただし、骨など肝臓以外の要因でも動きます。

間接ビリルビン:
赤血球が寿命を終えて分解される時に生まれる、まだ肝臓で処理される前のビリルビンです。フェーズ2のグルクロン酸抱合(水に溶けやすくする処理)を受けると「直接ビリルビン」に変わり、胆汁に乗って排出されていきます。

つまり間接ビリルビンは、①赤血球がどれだけ壊れて生まれたか(産生の量。溶血が強いと増える)と、②肝臓のグルクロン酸抱合(フェーズ2)の処理力、という二つを働きを示す指標として活用されます。

肝機能の数値が正常で溶血も見当たらないのに、間接ビリルビンだけがやや高め、というときは、体質的にこの抱合がゆるやかなジルベール症候群(よく見られる良性のもの)であることもあります。ちなみにビリルビンそのものには抗酸化作用があることも知られています。ただしあくまでもこの数値の上昇の背景には複数の要因があり、この値だけで何かを決められるものではありません。

解毒を促す3つの方法

① 良質な脂質を補給する
胆汁は、脂質を摂取すると分泌が促されます。極端な脂質制限を続けると、胆汁が出番を失い、流れが滞りやすくなることがあります。とはいえ揚げ物を増やすよりも、魚・卵・オリーブオイルといった質の良い脂質を食事に組み込むことが、胆汁を動かし、出口をスムースに保つことにつながります。

② 食物繊維で、戻ってくる荷物を絡め取る
水溶性の食物繊維は、腸の中で胆汁を絡め取り、再吸収されにくくして、便とともに送り出す働きがあることで知られています。海藻・きのこ・豆類などを日々の食卓に加えることで、腸肝循環のサポートができます。

③ 食間を空けて、胆嚢に仕事をさせる
胆汁は胆嚢(たんのう)にいったん蓄えられ、食事の際に放出されます。間食が続くと、この「蓄えて、放出する」というリズムが乱れることがあります。

やってはいけない「思い込み」の落とし穴

出口が詰まったまま、流そうとしない

胆汁の流れや腸の流れが滞ったままデトックスをしようとすると、毒素や老廃物は逆戻りしたり、行き場を失ってしまいます。デトックス中に、かえってだるさが増してしまうなら、解毒の出口がうまく回っていない可能性もあります。

肝臓を疲れさせるのは、お酒だけではない

飲酒だけが解毒に負担をかける要因ではありません。薬の常用、慢性的な腸の炎症、酸化ストレス、過剰な糖や果糖の摂取。これらは飲酒の有無に関係なく、解毒プロセスに負担を掛けてしまいます。

まとめ:出すより前に、出口を整える

休んでも抜けないだるさ、頭の重さ、お酒が残る。これらは怠けでも年齢でもなく、処理された毒素や有害物質、老廃物などが、出口で滞ってしまっているサインの可能性があります。

そんな時は、胆汁が動くように良い脂質をとり、食物繊維で再吸収を防ぎ、食事と食事の間に適度な時間を設け、出口をスムースに回すこと。これが大切になります。

気になる症状や数値がある時は、自己判断せずに、適切な医療機関等で検査を受けることをお勧めします。

まずは事態が大きくなる前に、日頃から自分で自分自身の状態をデータと体感から正しく理解しておくことが重要です。

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※ この記事は、精密栄養学の考え方にもとづく一般的な情報提供であり、特定の病気を診断したり、あなたの状態を断定したりするものではありません。検査数値の意味は一人ひとり異なり、ここで紹介した読み方も一つの見方にすぎません。気になる症状や数値があるときは、自己判断をなさらず、医師などの専門家にご相談ください。