第1章 今週の一言妻の慢性的な不調と、60項目の血液検査
ここではHSS型HSP(刺激を求めつつ、繊細に感じ取る気質をあわせ持つタイプ)の傾向を持つ筆者が、「常に新たな刺激を求める傾向」と「ストレスや過剰な刺激に疲弊しがち」という相反する気質を持つ自分とどのように向き合い、快適な暮らしとさらなる創造性を実現しようとしているのか、その旅路をリポートしています。
夕方の4時を回ると、いつも妻はソファから動けなくなっていました。
普通の疲労やダルさとも、何かが違う様子。
本人が言うには、異常に体が重くて、何もする気が起きない。
そうなるともはや、夕食の支度や洗濯などの家事さえもままなりません。
聞けばこの状態は、20代の頃からと言います。
夏でも冷たい手足、突然のイライラ、それに加えて生理の周期によってはさらに気分も体調も大きく変わる。
結婚して一緒に暮らすようになってから、食事を整えたり、一緒に運動をしたり、睡眠を見直したりしましたが、思うようには変わりませんでした。
どうしたものかと、いろいろな健康法を調べました。代替医療と呼ばれるものも、ひととおり試したように思います。ヨガや瞑想にはじまり、整体やカイロプラクティック、ナチュロパスや温熱療法、ボディトークにCS60など、興味を惹かれたものには何でもトライしてみました。
その結果、一時的に気分や体調が良くなることはあっても、しばらくすると元に戻ってしまう。その繰り返しでした。
いま振り返ると、僕たちがやっていたのは、「道具」を次々に持ち替えることでした。
どの道具もそれ自体が悪かったわけではないと思います。ただ、妻の体のどこにこの慢性的な不調の原因があるのか、その現在地を知らないまま闇雲に試していただけだったので、その道具が対策として適切だったかどうかを確かめようがなかったのです。
そんな時、ふとしたきっかけで、より詳しい血液検査を受けることができることを知りました。
通常、会社の健康診断などで受ける血液検査といえば、10項目ほどです。ここでわかることは、大きく言えば「病気かどうか」です。
健康保険組合の補助や人間ドックとの抱き合わせで検査項目が足される場合でも、実際は20〜40項目にとどまることが多く、それだけでは病気になる前の段階で起こりがちな慢性的な体調不良の原因を探るには十分とは言いきれません。
そこで、意を決して60項目の血液検査を受けてみたのです。
そこで見えてきたのは、大きく四つでした。
消化する力がかなり落ちていること。ビタミンB12と葉酸が足りていない可能性。甲状腺ホルモンが低めであること。そして、ミネラルが大きく不足していること。
どれも、それまでは気づけなかった部分です。
もちろん、不調の原因をこれらの要因に決めつけて、そこだけに解決を求めてしまうのは適切ではありません。
ただ、この四つが並んだ時に、持つべき適切な「道具」がはじめて明確になりました。
そして、そこからやったことは、意外にも食事と生活習慣の見直しという、とても地道なものでした。
なお、甲状腺ホルモンが低めと出た方は、まず医師にご相談ください。
足りないものがあるのならば、サプリで補ってしまえばいい。そんな考え方もありますが、そう簡単にはいかない理由もあります。そのあたりの詳しい理由は、第2章でお話しします。
まず大事なのは、必要な栄養素の量を確保する、それを消化できるように体を整える、どれくらい吸収されて使われているかを、定期的な血液検査で確かめる。
書いてしまえば、それだけのことです。
でも、改善の余地が大きかった妻にとっては、このプロセスをひとつずつ整えることが合っていたようです。
以前は午後から夕方にかけて急激にエネルギー不足になっていたのが、いまでは週末に早朝から僕と一緒にサーフィンをして、学んでいるソーシャルワークの勉強をし、午後には出かけ、夕方には夕飯作りや洗濯などの家事までこなせる日が増えました。
一日を通して以前のようなだるさを感じることが減り、お通じも整ってきているようです。
何より、気分が明るくなり笑顔が増え、毎日を楽しそうに暮らしています。そうなると、新しく挑戦しているソーシャルワークの仕事にも、前向きに取り組むモチベーションが自然と湧いてくるようです。
そばでその変化を見ている僕としては、とても嬉しいことです。
ただ、これはあくまで僕の家族の一例です。同じことをすれば、誰でも同じように変わるというものではありません。
さて、体を整えるための「道具」は、今の時代たくさんあります。
ただ、あなたが今どの道具を使うべきなのかは、自分の体の中で起こっていることを正確に把握しないと、決められません。僕がいつも「まずは現在地を知ることから」とお伝えしているのは、そのような体験からなのです。
今では誰もがGoogle Mapで現在地と行き先へのルートを手元で簡単に調べられるように、健康への道筋も、AIやデータ(と自分の体感)を上手に活用して、適切に歩んでいけるといいなと思っています。
第2章 今週のテーマ「消化力」という検査項目がなくても、胃腸の状態を知る手がかりはある
INNERTRAVELER.aiでは、お悩みの改善や健康増進だけにとどまらず、毎日を快適に、自分らしく創造的な日々を送るためのヒントを精密栄養学の視点からご提供しています。
「消化力」という検査項目がなくても、胃腸の状態を知る手がかりはある。
第1章では、妻が受けた60項目の血液検査の話をしました。
そこで見えてきたのは、栄養を消化する力が落ちていること、ビタミンB12と葉酸が足りていない可能性、甲状腺ホルモンが低めであること、そしてミネラルの不足。この四つです。
ここで、少し引っかかった方がいらっしゃるかもしれません。
「消化する力が落ちている」というのは、どうやってわかるのでしょうか?血液検査の項目に「消化力」というものはありません。
実を言うと、上記の四つのうち、直接測ったものはひとつもないのです。
精密栄養学の視点から血液検査を読む時には、ひとつの数字を単独で見るのではなく、いくつかの数字とその関係性を総合的に読み取っていきます。
たとえば消化力なら、胃酸の出具合を映すペプシノーゲン関連の項目と、タンパク質を分解したあとに残るBUN(尿素窒素)などの数値を並べて見ていきます。ただし、BUNは食べたタンパク質の量や、肝臓や腎臓の働きによっても上下します。どれかひとつの数字で決めるのではなく、いくつかを並べて見ることで、消化する力を知る手がかりになります。
また、精密栄養学の視点から行う60項目の血液検査は、健康診断などで行う血液検査とは目的や尺度そのものが異なります。
そもそも健康診断で診る血液検査で使われる基準値は、病気かどうかを判断する目的で設定されています。つまり、その基準値内に収まっていれば、病気ではないと判断され、慢性的な不調があっても、「ストレスや生活習慣のせいかもしれませんね」「少し様子を見ましょう」と言われ、もやもやが残ったまま終わってしまうことも少なくありません。
精密栄養学では、この検査結果に「理想値」というもうひとつの目盛りを重ねます。この目盛りは、あなたが「病気かどうか」を判断するものではなく、今が「理想的な健康状態にあるかどうか」を判断するために使われます。文脈としては、予防医療の領域に近いのではないかと思います。
ですから健診で「異常なし」と言われた方でも、理想値から見ると届いていない項目がいくつも出てくる。これは珍しいことではありません。
今回のLABOでは、健診の10項目と60項目以上の検査は何をそれぞれ見ているのか、そして妻の四つの所見をそれぞれどの数字から読んだのかを整理しました。
書きながら、自分でも改めて驚いたことがあります。別々の問題だと思っていた四つが、実は一本の鎖でつながっていました。
健診の結果表がお手元にあれば、ご自宅でひとつだけ確かめられる項目もご紹介しています。
「基準値の中にいること」と「理想的な状態にあること」は、別のものです
LABO|精密栄養学の研究ノート一般的な血液検査と、60項目血液検査でわかることの違い記事を読む →
第3章 Q&A読者の方からのご質問
Q1いまひとつサービスの内容がよくわからないのですが、どうしたらいいでしょうか。
Aご質問ありがとうございます。初めての方には、無料で15分のオンラインセッションをご案内しています。
サービスについての疑問でも、いま抱えていらっしゃるお悩みのことでも構いません。オンラインではありますが、面と向かってお話をさせていただくことで、お互いにより理解が進むものと考えています。
何よりも僕が心がけているのは、数値だけではなく、お客様お一人お一人の全体像を見るということです。
はっきりと表に出ているお悩みだけでなく、お話を伺う中で僭越ながら僕が感じたことや、どんなアプローチができそうかを、食事やライフスタイルという視点から幅広くご案内しています。
ただ、あくまでも僕がさせていただくのは、直接的な治療ではなくアドバイスです。
何を食べるべきか、何を食べないべきか、どのような暮らし方をするのが合っているのか。お一人お一人のお仕事や生活の状況に合わせて具体的にご提案はさせていただきますが、どこまでそれを実行されるかは、お客様ご自身の判断です。
その際に、そもそも僕自身を信頼していただけるかどうかというのは、大事な要素だと思っています。ですからサービスをお試しいただく前に、まずは一度お話をさせていただいた上で、ぜひご判断いただければと思います。
なお、主なサービスとしては、解析レポートのご提供、オンラインセッションでの解説、そして毎週または毎日のフォローアップメール、この三つとなっております。
ベースとなるのは、血液検査データや記録していただく食事や運動、睡眠などのデータ、また、もしお持ちであれば、遺伝子検査や腸内環境検査、血糖値などの情報も総合的に解析にかけさせていただきます。ただし、本サービスでは、これらの検査自体をご提供するものではありません。
ご参考までに、モニターとして参加された方の実際の体験談をよろしければご覧ください。
現在、無料モニターにご参加いただける方を1名様募集しております。尚、まもなく本サービスはベータ版としてのご案内期間を終了し、有料サービスとしてのご案内を開始させていただく予定です。ご興味のある方は、何卒お早めにお問い合わせをお願いいたします。
Q1解析レポートのサンプルを拝見しました。非常にボリュームが多くて面白いのですが、難しい言葉も多くてよくわかりません。その辺も解説してもらえるのですか。
A.もちろんです。必要に応じて僕から直接ご説明させていただきますし、ご質問もメールにて受け付けております。
また、ご希望の方には詳細な解析レポートの内容を「現状・原因・対策」にわかりやすく整理した、簡易的なフローチャートも併せてご提供しています。
現状と原因と対策。この三つの流れを、一枚のシートでわかりやすくご覧いただけるようにしたものです。
僕自身の経験からも言えることですが、血液検査、結果のデータなどをある程度読めるようになると、その時々の状況や原因、対策などを、自分でも目星をつけられるようになってきます。
第1章で地図の話をしましたが、自分の地図を自分で読めるようになる、ということだと思っています。
たとえば尿素窒素という項目。これが「タンパク質を分解したあとに出る燃えかす」だとわかった瞬間に、その数字が低いことの意味が見えてきます。今飲んでいるプロテインがきちんと消化吸収されているのか、または無駄になっているのか、など。
このように健康への取り組みは、ご自身の体と健やかな毎日への非常に利回りの高い長期的な投資だと思っています。
僕自身、体験された方からのお声でとても嬉しかったのが、「なぜそうなるのか、そういう時にはどうすればいいのかが、自分でも理解できるようになった」というものでした。
つまり、誰かから「これをするといい」と聞いて、それをただこなすのではなく、その時々のコンディションや不調の原因を自分自身で深く理解して、こんな時にはこういう対策が効きそうだ、と判断できるようになること。
僕自身の学びや経験が誰かにとっても役立つものになるのであれば、これ以上うれしいことはありません。
Q1先週のメルマガに書いてあった、「心と体をクロスオーバーさせる」という視点が非常に興味深かったです。ストレスを解消するのに、何かおすすめのアプローチは他にもありますか?
Aご購読ありがとうございます!頭で考えても解決できない課題は、体を使ってアプローチする。時にこれは非常に有効な手段になりますよね。中でも最近僕が注目しているのは、眼球運動です。
Vol.13でご紹介した呼吸法に加えて、このアプローチは過剰になった交感神経を鎮め、副交感神経を働きやすくするのに、かなり有効だと考えています。
人が脳に取り込む刺激の大部分は、視神経から来るものだと言われています。
逆に言えば、目から入る刺激を整えて、そこから派生する疲労を軽くしてあげれば、リラックス感が高まるのは理にかなっています。
特にスマホやパソコンのように、非常に狭い領域に視線を長時間固定していると、知らず知らずのうちに脳が疲れていきます。
その状態が続くと、物理的な視野だけでなく、アイデアや感情の幅、ひいては仕事のパフォーマンスや視点も低くなってしまうように感じています。
では、やり方を具体的にご紹介いたします。
まず始める前に、いまの体の状態をチェックします。
立った状態で前屈をして、床に指がどのあたりまで届くか、確認しましょう。
次に、腰に手を当てずに上体を後ろへ反らして、どのくらいスムースに倒れるか。
最後に、体を左右にひねって、どこまで後ろ側が見えるかをチェックします。
次に、三つのステップがあります。
① サッカード(視線を左右に移動させる)
両手を斜め前に、70センチほど離して広げます。正面を見た時に、両方の親指がぎりぎり視界に入るくらいの幅です。
顔は正面のまま動かさず、目だけで右の親指の爪、左の親指の爪、と交互にしっかり見つめます。5往復ほど、くれぐれもゆっくりと行なってください。
同じことを上下、斜め、そして前後(片方の手は鼻から10〜20センチ、もう片方はできるだけ遠くに)でも行います。

② パースート(ゆっくりと対象物を目で追いかける)
ペンか指を1本立てて、顔から40センチほど離します。
顔は動かさず、目だけでゆっくり追いかけます。左右に5往復、それから斜め方向にも同じように。
ここで大事なのは、速くやらないことです。速く動かすと酔ってしまいますし、刺激が過剰になります。ゆっくりと、そしてしっかりと焦点を合わせながら、目を動かしてください。

③ VOR(目は止めて、顔の向きだけを動かす)
今度は逆です。
親指を顔から40センチほどのところに固定して、そこをじっと見つめたまま、顔だけをゆっくり右へ、左へと動かします。
慣れてきたら、斜め方向や上下でも行います。
これは、目と首を別々に動かす練習になります。やってみるとお分かりいただけると思いますが、目が親指から離れて顔と一緒に動いてしまったり、首に力が入ってしまったり、スムーズに行うのは思った以上に難しいはずです。

ポイントは三つ
速くやらないこと。多くても5往復くらいまでにすること。そして、呼吸を止めないこと。
やりすぎると、かえって脳への刺激が過剰になってしまいます。1日1回で十分ですし、面倒な時はサッカードだけでも構いません。
では、ここでもう一度体の状態をチェックしてみましょう。
前屈、後屈、ひねり。さっきと同じ場所に立って、比べてみましょう。
いかがでしょうか?
目しか動かしていないのに、体の柔軟性だけでなく、顔周りの筋肉や神経、気持ちの状態が変わっていることがあります。
仕組みとしては、後頭部の付け根に、目の動きと連動して働く小さな筋肉があります。人はもともと、視線を向けた方向へ瞬時に頭を向けるようにできているので、目を動かすとここが自動的に反応するのです。
そしてこの筋肉には、体の位置を感じ取るセンサーが非常に高い密度で詰まっています。
ですから目が固まると首の奥が固まり、そこから下が全部つられて硬くなる。逆にここをほぐせば、遠く離れた場所までゆるむ。前屈できる角度が変わるのは、そのような仕組みです。
僕は、仕事やPC作業などで頭が煮詰まってきた時にやることが多いです。首の後ろがゆるんで、視界が少し広がったように感じます。実際に気持ちもリラックスできますし、Apple Watchで測るとHRV(心拍変動)も若干上向きます。
外を歩くとアイディアが湧く、というのも、おそらく近いことが起きているのだと思います。景色が動く分、視線が自然といろいろな方向に向き、適度なリラックス感が脳を活性化するのかもしれません。
とはいえ、目や首に持病のある方、めまいが出やすい方は、絶対に無理をなさらないでください。途中で気分が悪くなった時も、すぐにやめて休むようにしましょう。
忙しい毎日でもこうしたテクニックを活用して、ふとした時に本来の自分自身に戻る習慣を、ぜひ身につけておくと良いのではと思います。
