フェリチンとヘモグロビンの違い
鉄は、酸素を運ぶヘモグロビンの材料です。細胞の中でエネルギーを作る酵素や、気分や集中に関わる神経伝達物質を作る過程でも使われています。
ヘモグロビンは、いま血液の中で酸素を運んでいる鉄の量に近い数字です。フェリチンは、体に蓄えてある鉄の量に近い数字です。鉄が減り始めた段階では、ヘモグロビンだけを見ていても気づきにくいということです。
一般の基準範囲と、精密栄養学の目安
| 一般の基準範囲 | 精密栄養学の目安 | |
|---|---|---|
| 女性 | 5〜150 ng/mL | 50〜80 ng/mL |
| 男性 | 20〜250 ng/mL | 100〜150 ng/mL |
一般の基準範囲は検査機関によって違い、表の値はおおよその例です。お手元の結果票に印字された範囲を確かめてください。フェリチンは健診の基本項目に入っていないことが多く、追加で頼んで測る項目です。
一般の基準範囲は、病気かどうかを分けるための範囲です。精密栄養学の目安は、体が無理なく働いている状態の目安として使っています。
低めのときに考えられる背景
- 肉や魚が少ない、食事の量が少ないなど、食事から入る鉄が少ない
- 月経による出血
- 胃酸が少ないなど、鉄を吸収しにくい状態
- 妊娠・授乳の時期や、運動量が多い時期
- 消化管からの出血など、医療機関で確かめるべき原因
疲れやすさ、息切れ、朝の起きにくさ、集中の続きにくさとして感じることがあると言われています。
高めのときに考えられる背景
フェリチンは、体のどこかに炎症があるときにも上がります。高いからといって、鉄が足りているとは限りません。CRPなど炎症の項目と合わせて見ます。肝臓に負担がかかっているとき、飲酒が多いとき、鉄が体にたまりやすい体質のときにも高くなることがあります。
ほかの項目と合わせて読む
フェリチンは、ヘモグロビン、MCV(赤血球の大きさ)、血清鉄、CRPと並べて読みます。MCVが小さめで、フェリチンも低めなら、鉄が足りていない流れと合っています。フェリチンが高めでも、CRPが高ければ炎症の影響を考えます。
前回の検査と比べて、どちらに動いているかも大切です。
暮らしで見直せること
鉄は、赤身の肉や魚、あさりなどの貝、レバーに多く含まれます。肉や魚の鉄は、野菜や豆の鉄より吸収されやすいとされています。ビタミンCを含む野菜や果物を一緒に食べると、吸収を助けます。お茶やコーヒーは鉄の吸収を下げることがあるので、食事の前後は少し時間を空けます。
鉄のサプリメントは、量によっては胃腸の負担になったり、とりすぎになったりします。使うかどうかは、医療機関で相談してから決めてください。
医療機関に相談したい目安
- 結果票に、再検査や精密検査の案内がある
- 息切れ、動悸、めまいが続く
- 月経の量が多い、便が黒いなど、出血が気になる
- フェリチンが基準範囲を大きく上回っている
よくある質問
ヘモグロビンが基準内なら、鉄は足りていますか?
足りているとは限りません。鉄が減るときは蓄えのフェリチンから先に減るため、ヘモグロビンが基準内でもフェリチンが低いことがあります。両方を並べて見ると確かです。
フェリチンは健康診断で測れますか?
一般的な健診の基本項目には入っていないことが多い項目です。追加の項目として頼むか、医療機関で相談してください。
一般の基準範囲:日本臨床検査医学会「臨床検査の基準範囲・臨床判断値」(2025年11月)ほか。検査機関によって少し違います。精密栄養学の目安:Nomad Academy の精密栄養学講座の血液検査資料。