血液検査の項目ガイド / ヘモグロビン・MCV(赤血球の大きさ)

BLOOD TEST GUIDE

ヘモグロビンやMCVが低い・高いと言われたら

2026年10月11日更新|文・鈴木雄太(精密栄養カウンセラー)

ヘモグロビンは、赤血球の中で酸素と結びつき、全身に届けるたんぱく質です。数値は、血液がどれだけ酸素を運べるかの目安になります。MCVは赤血球一つの平均の大きさで、ヘモグロビンと並べると、足りない材料の見当がつきます。

精密栄養学の目安は、ヘモグロビンが女性13〜14 g/dL、男性14〜15 g/dLです。MCVは女性88〜92 fL、男性90〜93 fLを目安にし、小さめなら鉄、大きめなら葉酸やビタミンB12の不足を考えます。

赤血球の大きさが変わる仕組み

赤血球は骨髄で作られ、およそ120日働いたあと、脾臓などで壊されます。中の鉄は回収され、新しい赤血球を作るときにまた使われます。

ヘモグロビンは、鉄を含むヘムと、たんぱく質のグロビンからできています。鉄が足りないと、赤血球の中にヘモグロビンを十分に詰められず、赤血球は小さめになります。

赤血球のもとになる細胞は、分裂するたびに、葉酸とビタミンB12を使ってDNAを作ります。足りないと分裂が遅れ、そのあいだも細胞は育ち続けるため、大きいまま血液に出てきます。

同じ赤血球の項目に、赤血球数、ヘマトクリット(血液に占める赤血球の割合)、MCH(赤血球一つに含まれるヘモグロビンの量)があります。ヘマトクリットは、赤血球数とMCVから計算して出す検査機関が多い項目です。

一般の基準範囲と、精密栄養学の目安

一般の基準範囲精密栄養学の目安
ヘモグロビン(女性)11.6〜14.8 g/dL13〜14 g/dL
ヘモグロビン(男性)13.7〜16.8 g/dL14〜15 g/dL
MCV(女性)83.6〜98.2 fL88〜92 fL
MCV(男性)83.6〜98.2 fL90〜93 fL
MCH27.5〜33.2 pg30〜35 pg
赤血球数(女性)386〜492 ×10⁴/µL450〜500 ×10⁴/µL
赤血球数(男性)435〜555 ×10⁴/µL450〜500 ×10⁴/µL
ヘマトクリット(女性)35.1〜44.4%35〜40%
ヘマトクリット(男性)40.7〜50.1%40〜45%

一般の基準範囲は、全国の検査機関で共通に使えるよう定められた値です。お手元の結果票に印字された範囲も確かめてください。精密栄養学では、赤血球数の目安だけは男女で同じにしています。

一般の基準範囲は、病気かどうかを分けるための範囲です。精密栄養学の目安は、体が無理なく働いている状態の目安として使っています。

低めのときに考えられる背景

ヘモグロビンが低めでMCVが小さめなら、鉄が足りない流れと合っています。MCVが大きめなら、葉酸やビタミンB12の不足を先に考えます。疲れやすさや息切れ、立ちくらみとして感じることがあると言われています。

高めのときに考えられる背景

ヘモグロビンが高めのときは、まず水分の不足を考えます。血液中の水分が減ると血液が濃くなり、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数がそろって高めに出ます。飲酒が多いときや、炎症で血管から水分が外に出ているときにも起こります。

MCVが大きいと、赤血球数がふつうでも、ヘマトクリットやヘモグロビンが高めに出ることがあります。この場合は、赤血球が多すぎるのではなく、一つひとつが大きいことが理由です。

MCVが高めのときは、葉酸やビタミンB12の不足のほか、お酒をよく飲む習慣も背景になります。赤血球が作られすぎる病気など、医療機関で確かめるべき原因もあります。

ほかの項目と合わせて読む

MCVが小さめでフェリチンも低めなら、鉄が足りていない流れと合っています。フェリチンが高めでも、CRPが高ければ炎症の影響を考え、鉄が足りているとは決めません。

ヘモグロビンが低めで、間接ビリルビンやLDが高めのときは、赤血球が早く壊れている流れも考えます。激しい運動や飲酒、酸化ストレスが重なると、赤血球は壊れやすくなると言われています。

総蛋白やアルブミンも高めなら、水分の不足を考える根拠が増えます。前回の検査と比べて、どちらに動いているかも合わせて見ます。

暮らしで見直せること

鉄は赤身の肉や魚、あさりなどの貝に、葉酸は緑の濃い葉物野菜に多く含まれます。ビタミンB12は、貝やレバー、魚、魚卵などの動物性の食品に多く、植物性の食品が中心の食事では足りにくいとされています。

コーヒーやお茶、チョコレートは鉄の吸収を下げることがあるため、食事の前後は時間を空けます。胃酸は副交感神経が働いているときに出やすいので、落ち着いてよく噛んで食べることも大切です。

鉄のサプリメントは、体に炎症があるときに使うと、酸化や炎症を進めることがあると考えます。使うかどうかは、CRPやフェリチンも確かめたうえで、医療機関で相談してから決めてください。

医療機関に相談したい目安

よくある質問

ヘモグロビンが基準内でも、鉄が足りないことはありますか?

鉄が減るときは、蓄えのフェリチンが先に減り、ヘモグロビンが下がるのはそのあとなので、基準内でも足りないことがあります。MCVが小さめに動いていないかを、フェリチンと並べて見ると確かです。

MCVが大きいのは、何が足りないということですか?

精密栄養学では、まず葉酸とビタミンB12の不足を考えます。どちらも赤血球のもとになる細胞がDNAを作るときに使われ、足りないと赤血球が大きくなります。飲酒や胃酸の少なさも関わるため、暮らしと合わせて見ます。

一般の基準範囲:日本臨床検査医学会「臨床検査の基準範囲・臨床判断値」(2025年11月)ほか。検査機関によって少し違います。精密栄養学の目安:Nomad Academy の精密栄養学講座の血液検査資料。

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※ このページは、精密栄養学の考え方と筆者の学びにもとづく一般的な情報です。検査値から病気の有無を判定したり、治療を行ったりするものではありません。数値の受け止め方や対応は、結果票の案内に従い、医療機関にご相談ください。