赤血球の大きさが変わる仕組み
赤血球は骨髄で作られ、およそ120日働いたあと、脾臓などで壊されます。中の鉄は回収され、新しい赤血球を作るときにまた使われます。
ヘモグロビンは、鉄を含むヘムと、たんぱく質のグロビンからできています。鉄が足りないと、赤血球の中にヘモグロビンを十分に詰められず、赤血球は小さめになります。
赤血球のもとになる細胞は、分裂するたびに、葉酸とビタミンB12を使ってDNAを作ります。足りないと分裂が遅れ、そのあいだも細胞は育ち続けるため、大きいまま血液に出てきます。
同じ赤血球の項目に、赤血球数、ヘマトクリット(血液に占める赤血球の割合)、MCH(赤血球一つに含まれるヘモグロビンの量)があります。ヘマトクリットは、赤血球数とMCVから計算して出す検査機関が多い項目です。
一般の基準範囲と、精密栄養学の目安
| 一般の基準範囲 | 精密栄養学の目安 | |
|---|---|---|
| ヘモグロビン(女性) | 11.6〜14.8 g/dL | 13〜14 g/dL |
| ヘモグロビン(男性) | 13.7〜16.8 g/dL | 14〜15 g/dL |
| MCV(女性) | 83.6〜98.2 fL | 88〜92 fL |
| MCV(男性) | 83.6〜98.2 fL | 90〜93 fL |
| MCH | 27.5〜33.2 pg | 30〜35 pg |
| 赤血球数(女性) | 386〜492 ×10⁴/µL | 450〜500 ×10⁴/µL |
| 赤血球数(男性) | 435〜555 ×10⁴/µL | 450〜500 ×10⁴/µL |
| ヘマトクリット(女性) | 35.1〜44.4% | 35〜40% |
| ヘマトクリット(男性) | 40.7〜50.1% | 40〜45% |
一般の基準範囲は、全国の検査機関で共通に使えるよう定められた値です。お手元の結果票に印字された範囲も確かめてください。精密栄養学では、赤血球数の目安だけは男女で同じにしています。
一般の基準範囲は、病気かどうかを分けるための範囲です。精密栄養学の目安は、体が無理なく働いている状態の目安として使っています。
低めのときに考えられる背景
- 肉や魚が少ないなど、鉄やたんぱく質が食事から足りていない
- 月経による出血
- 胃酸が少なく、鉄やビタミンB12を吸収しにくい
- 葉酸やビタミンB12が足りない
- 消化管や子宮からの出血など、医療機関で確かめるべき原因
ヘモグロビンが低めでMCVが小さめなら、鉄が足りない流れと合っています。MCVが大きめなら、葉酸やビタミンB12の不足を先に考えます。疲れやすさや息切れ、立ちくらみとして感じることがあると言われています。
高めのときに考えられる背景
ヘモグロビンが高めのときは、まず水分の不足を考えます。血液中の水分が減ると血液が濃くなり、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数がそろって高めに出ます。飲酒が多いときや、炎症で血管から水分が外に出ているときにも起こります。
MCVが大きいと、赤血球数がふつうでも、ヘマトクリットやヘモグロビンが高めに出ることがあります。この場合は、赤血球が多すぎるのではなく、一つひとつが大きいことが理由です。
MCVが高めのときは、葉酸やビタミンB12の不足のほか、お酒をよく飲む習慣も背景になります。赤血球が作られすぎる病気など、医療機関で確かめるべき原因もあります。
ほかの項目と合わせて読む
MCVが小さめでフェリチンも低めなら、鉄が足りていない流れと合っています。フェリチンが高めでも、CRPが高ければ炎症の影響を考え、鉄が足りているとは決めません。
ヘモグロビンが低めで、間接ビリルビンやLDが高めのときは、赤血球が早く壊れている流れも考えます。激しい運動や飲酒、酸化ストレスが重なると、赤血球は壊れやすくなると言われています。
総蛋白やアルブミンも高めなら、水分の不足を考える根拠が増えます。前回の検査と比べて、どちらに動いているかも合わせて見ます。
暮らしで見直せること
鉄は赤身の肉や魚、あさりなどの貝に、葉酸は緑の濃い葉物野菜に多く含まれます。ビタミンB12は、貝やレバー、魚、魚卵などの動物性の食品に多く、植物性の食品が中心の食事では足りにくいとされています。
コーヒーやお茶、チョコレートは鉄の吸収を下げることがあるため、食事の前後は時間を空けます。胃酸は副交感神経が働いているときに出やすいので、落ち着いてよく噛んで食べることも大切です。
鉄のサプリメントは、体に炎症があるときに使うと、酸化や炎症を進めることがあると考えます。使うかどうかは、CRPやフェリチンも確かめたうえで、医療機関で相談してから決めてください。
医療機関に相談したい目安
- 結果票に、再検査や精密検査の案内がある
- ヘモグロビンが一般の基準範囲を下回っている
- 息切れ、動悸、めまい、立ちくらみが続く
- 月経の量が多い、便が黒いなど、出血が気になる
- ヘモグロビンやヘマトクリットが一般の基準範囲を大きく上回っている
よくある質問
ヘモグロビンが基準内でも、鉄が足りないことはありますか?
鉄が減るときは、蓄えのフェリチンが先に減り、ヘモグロビンが下がるのはそのあとなので、基準内でも足りないことがあります。MCVが小さめに動いていないかを、フェリチンと並べて見ると確かです。
MCVが大きいのは、何が足りないということですか?
精密栄養学では、まず葉酸とビタミンB12の不足を考えます。どちらも赤血球のもとになる細胞がDNAを作るときに使われ、足りないと赤血球が大きくなります。飲酒や胃酸の少なさも関わるため、暮らしと合わせて見ます。
一般の基準範囲:日本臨床検査医学会「臨床検査の基準範囲・臨床判断値」(2025年11月)ほか。検査機関によって少し違います。精密栄養学の目安:Nomad Academy の精密栄養学講座の血液検査資料。