Q不妊治療をされていたと聞きました。私も妊活をしているのですが、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
Aはい。僕たち夫婦も、数年前にその時期を過ごしました。
結果的に子どもを授かることはできませんでしたが、その前提でお読みいただければと思います。
ひとつだけ、先にお伝えします。妊活は、年齢やこれまでの経過によって、時間の使い方が変わってきます。栄養や生活習慣より先に、専門の医療機関にご相談ください。ここでお話しできるのは、あくまでその土台を支える部分です。
まず、栄養の話から入る前に、僕自身の経験からいちばんお伝えしたいことがあります。
夫婦で、心から向き合って話をすること。
まずはこれがどこまでできているかが大切と思います。
なぜ子どもが欲しいのか。お互いに、どんな想いを本当は抱いているのか。そして、どこまでなら頑張れるのか。ここには、時間的なことと、経済的なことなども含まれます。
あわせて、授かることが叶わなかった時のことも、一度は話しておく。
つらい話題ですが、先に置いておけたことは、僕たちにとって助けになりました。
そもそも、ふたりは別の人間です。
分かり合っているつもりでも、お互いが実際に感じていることは、それなりにすれ違っているはずです。その前提に立って、相手を思いやる気持ちを、その都度確かめ合う。その姿勢を前もって、しっかりと確認しておく、それが大事だと思います。
不妊治療の中では、とくに女性がホルモンのバランスを崩したり、体の負担を強いられたりする場面が少なくありません。その時に、男性として何ができるのか。考え続けることは必要だと思います。
その上で、栄養の話を。
はっきりしているのは、葉酸です。
日本では、妊娠を計画している方、妊娠の可能性がある方、妊娠初期の方は、ふだんの食事からとる葉酸に加えて、サプリメントや葉酸を強化した食品から1日400μgをとることが望まれています。時期は、およそ妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで。神経管がつくられるのは妊娠のごく初期なので、気づいてから始めたのでは間に合わないことがあるからです。
三つ、あわせて覚えておいていただきたいことがあります。
ひとつ。この400μgは、食事とは別に、サプリメントや強化食品からとる分の量です。ふだんの食事の葉酸を400μgまで増やす、という話ではありません。
ふたつ。上限があります。サプリメントや強化された食品からとる場合は、1日1000μgを超えないように、とされています。多くとるほど良いというものではありません。
みっつ。神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因で起こるものではなく、葉酸をとれば必ず防げる、というものでもありません。ここは公的な資料にもはっきり書かれています。
妊娠を考えていらっしゃる方は、この話を持って一度かかりつけの産婦人科でご相談ください。
ただ、葉酸には種類があり、体での使われ方に個人差があります。このあたりは以前まとめましたので、よろしければこちらを。
LABO|精密栄養学の研究ノート葉酸を飲んでも、なぜ変わらないのか|MTHFRと活性型葉酸の話記事を読む →
それから、第2章のコルチゾールの話が、ここでもつながります。
ストレスが続くと、体は生命維持を優先して、コレステロールという材料をコルチゾールの方へ回し、その分、性ホルモンにまわる材料が細くなる、という見方があります(まだ十分に確かめられた説ではありません)。妊活で「まず余裕をつくってください」とお伝えしているのは、こうした見方もあってのことです。
ただ、これは「ストレスさえ減らせば授かる」という話ではありません。うまくいかない時期が続くと、こういう話は自分を責める材料になりがちです。どうか、そう読まないでください。
もうひとつ、男性側について。精子ができあがるまでにはおよそ3か月かかりますから、パートナーの方も同じ時期から一緒に見直しておくと、時間の使い方に無駄がありません。
最後に、ご参考までに僕ら自身が当時取り組んでいたことをお伝えします。効果を保証するものでも、どなたにでもお勧めできるものでもありません。あくまでひとつの例として受け取ってください。
食事を見直すこと。走って体力をつけ、下半身に筋肉をつけること。夜は早めに寝て、朝の時間をゆっくりとること。体の深部を温めること。そして、できるだけ穏やかに過ごすこと。自分を責める癖に気づいたら、そこでやめるようにしていました。
並べてみると、特別なことはひとつもありません。ただ、どれも続けるのは簡単ではないな、というのが正直なところです。
そして、ここに並べたことをやっていたから何かが変わった、と申し上げるつもりもありません。実際、僕たちは授かりませんでした。
ですから、できていないことがあったとしても、それがうまくいかない理由だとは、どうか思わないでください。
うまくいかないことが続くと、自分の体や、自分たちの選択や行動を責める気持ちが出てきがちです。そんな時でも、過去を必要以上に振り返ることなく、自分たちがしてきたことに自信を持ち、納得できるよう、あらかじめ心構えをしておくことが大事だと思います。
第1章で、しまったままのことがあるかと書きました。
僕にとってのそのひとつが、まさにこの話です。
お子さんを授かれることを、心から願っています。
そして何より、おふたりが共に心から納得できる進め方を見つけていかれることを、願っています。
この回答は、メルマガ Vol.09(2026年7月26日配信)のQ&Aからの転載です。からだや食事のご質問は、メルマガへの返信か [email protected] までお寄せください。