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INNER TRAVELER Vol.08

頭が働かない日と、ケトン体の個人的な実験

2026年7月19日配信
今週の精密栄養学:脂肪から作られる、もうひとつのエネルギー「ケトン体」の話

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第1章 今週の一言頭が働かない日と、ケトン体の個人的な実験

ここではHSS型HSP(刺激を求めつつ、繊細に感じ取る気質をあわせ持つタイプ)の傾向を持つ筆者が、「常に新たな刺激を求める傾向」と「ストレスや過剰な刺激に疲弊しがち」という相反する気質を持つ自分とどのように向き合い、快適な暮らしとさらなる創造性を実現しようとしているのか、その旅路をリポートしています。

皆さんは、大事な会議やここぞという場面で、なんだか頭がうまく働かない、言葉や記憶がすんなり出てこない。そんな経験はないでしょうか?

僕自身、20代のころに、そんな時期がありました。勉強や仕事中、どこか頭にキレがなく、いつも頭が重く、ぼんやりしている。今になって思えば、当時の食事やライフスタイルの影響が、大きかったのだろうと感じています。

この「頭がうまく働かない」「ぼんやりする」という状態は、いわゆるブレインフォグと呼ばれるものかもしれません。起こる仕組みはひとつではありませんが、その背景のひとつに、脳へのエネルギー供給が不安定になることがあると考えられています。

だからこそ、血糖値をゆるやかに保ち、脳へのエネルギーを安定させること。これは、頭のコンディションを支える大切な土台のひとつです。

また、脳は、その多くが脂(脂質)でできているとも言われます。ですから、日ごろから質の良い脂を意識することも、脳にとって大切だと考えられています。青魚などに含まれるDHAやEPAが「脳に良い」と言われるのも、こうした背景があるからです。

さて、ここからは少し実験的な話になります。先にお断りしておくと、これは僕が自分の体で試した、かなり個人的な経験です。

食事から摂る糖質を減らしていくと、体は脂肪を分解して、「ケトン体」という、糖の代わりになるエネルギーを作り出します。この値は、SIBIO のようなデバイスでリアルタイムに測定できるようになりました。

僕の場合は、糖質を控えると、数日で体調を崩さないまま、ケトン体が少しずつ上がってきます。とくに以前、数日の断食を試したことがあり、その時は、僕のケトン体はかなり高い値まで上がりました。(ただし、これは一般的な推奨レベルよりもかなり高い状態であり、全員が目指すべきものではありません。)その状態で、MCTオイルを少し試してみたのです。

すると、体は心地よくふわふわとしているのに、頭のほうはパキッと冴えている。瞑想と断食の効果も重なってか、そんな不思議な感覚を味わうことができました。

ただ、大事なことなので、はっきりお伝えします。これは、かなり極端なやり方です。体調が万全でない方には、決しておすすめしません。はっきりしたエビデンスがあるわけでもありませんし、断食やケトン体を高く保つことは、持病やお薬のある方にとっては、リスクを伴うこともあります。もし興味を持たれた方も、始める前に、かかりつけの医師に一度ご相談ください。

そもそも、なぜ僕がここまで頭の明晰さにこだわるのか。それはきっと、いつも頭が新しい刺激を求めて、たくさんのアイデアや思考が、目まぐるしく巡っているような気質だからだと思います。アーユルヴェーダでいうところのヴァータ体質、またはHSS型HSP(高刺激追求・高感受性)に特有のものなのかもしれません。(ご自身の体質をチェックしたい方はこちら。)

早い話が、「考えること」が好きなのです!

自分に問いを投げかけて、どうすれば解けるだろうと巡らせている時間。あるいは、シャワーを浴びていたり、車を運転していたり、散歩でぼんやりしている時に、ふと何かがひらめく瞬間。点と点、線と線が、一気につながっていくあの感覚に、たまらない心地よさを覚えるのです。

だから僕にとって、脳の明晰さや健やかさは、毎日の暮らしのなかで、とても大切なものになっています。

30代、40代になって、「以前より、少し頭のキレが落ちたかな」と感じている方。それは年齢や気合いのせいだけとは限りません。日々の食事やライフスタイルで整えていける部分も、きっとあるはずです。無理のない範囲で、できそうなことから試してみるのも、いいかもしれませんね。

第2章 今週のテーマ脂肪から作られる、もうひとつのエネルギー「ケトン体」の話

INNERTRAVELER.aiでは、お悩みの改善や健康増進だけにとどまらず、毎日を快適に、自分らしく創造的な日々を送るためのヒントを精密栄養学の視点からご提供しています。

「脂肪から作られる、もうひとつのエネルギー『ケトン体』の話」

第1章では、ケトン体に関する体験をお話ししました。僕個人の試みですが、そもそも「ケトン体」とは、いったい何なのでしょうか?

私たちの体は、普段は糖(ブドウ糖)を主なエネルギー源として動いています。ところが、糖が足りなくなった時にだけ働きはじめる、もうひとつのエネルギーのメカニズムが備わっています。それが、脂肪から作られる「ケトン体」です。

このケトン体の生成がうまく回ると、頭が冴えるように感じる方もいますが、その出やすさには実は大きな個人差があります。また、自己流の無理な糖質制限には、気をつけるべき落とし穴もあります。

今週のLABOでは、ケトン体とは何か、どうやって作られるのか。そして「自分の体質と、安全に付き合う」ための知識を、精密栄養学の視点でまとめました。よろしければ、ぜひご覧ください。

LABO|精密栄養学の研究ノート脂肪から作られる、もうひとつのエネルギー「ケトン体」の話記事を読む →

第3章 Q&A読者の方からのご質問

Q1ケトジェニックダイエットに興味があるのですが、何を食べればいいんでしょうか?

Aざっくり言うと、「糖質を控えめにして、質のよい脂、適量のたんぱく質、そして野菜をしっかり」が基本になります。ただし、個人差も大きいので、体調や体感を見ながら調整も必要です。

特に脂は、「量」だけでなく、「質」が大切です。おすすめは、フィッシュオイル(EPA・DHA)、オリーブオイル、そしてMCTオイル(中鎖脂肪酸)。MCTオイルは、肝臓でケトン体に変わりやすいと言われる脂です。ただし、はじめはごく少量から。おなかがゆるくなりやすいので、様子を見ながら、無理のない範囲で少しずつ調整してください。合わないと感じたら、量を戻したり、いったんやめることも大切です。加熱調理には向かないので、スープやサラダにそのままかけるのがおすすめです。

たんぱく質は、多ければいいわけではありません。とりすぎると、胃腸の負担になることもあります。もともと腎機能に不安のある方は、腎臓への負担にも注意が必要です。健康な方でも、消化できる範囲で、適量にとどめておくのが安心です。野菜や食物繊維も、忘れずに。

逆に、控えたいのは、精製された砂糖や甘い飲み物、加工食品、そして質の悪い揚げ油など。同じ「脂」でも、質の悪いものばかりだと、かえってLDLコレステロールが上がったり、酸化ストレスが高まったりすることがあります。

また、いきなり徹底的に糖質を減らすのではなく、「ゆるやかに」減らすことを心がけましょう。糖質を減らすと、体が慣れるまでに、だるさや頭痛が出ることがあります。水分と塩分、マグネシウムなどのミネラルを、いつもより多めに摂ることを意識しましょう。

なお、1型糖尿病などインスリンの作用に問題がある方、甲状腺や肝臓に不安のある方、妊娠・授乳中の方には、この方法はお勧めできません。持病や定期的にお薬を飲んでいる方も、はじめる前に必ず主治医に確認してください。

Q1どうしてオーストラリアに移住したのですか?

A先日、note でも、その経緯をお話しさせていただきました。

一言で言えば、自然豊かな場所で暮らして、自分の心を癒す必要があったからだと思います。

元々ストレスに弱く、周囲や環境に影響されがちな僕は、自分が一番自分らしくいられる海や山などに囲まれた土地で、ゆっくりとした時間を持つことが欠かせないことを理解していました。

とはいえ、ここが最終的な理想郷だとも思っていません。あくまでも日々の暮らしのベースを、自分を本当にリラックスできる環境に持ちたかったのです。

正直に言うと、代わりに失ったものもたくさんあります。心許せる友人と気軽に話せる距離感、世界最高レベルの日本の食文化、思い出やゆかりのある場所や暮らしから離れること、そして、晩年の両親が存命だったころに、そのそばを離れたことなど。

でも、大切なのは、これらを天秤にかけて、どちらで暮らすことが正解なのかを見定めることではないとも思っています。答えのない問いに、頭だけを悩ませ続けると、人生の貴重な時間を浪費してしまいかねません。もちろん、その葛藤自体が意味を持つことも多分にあるかと思います。

でも何よりも、後悔なく、自分の選択に納得感を持てるように判断をすること。それが大事だと思います。仕事かお金か、両親の介護か自分のやりたいことを大切にするのか、他人軸で生きるのか自分軸で夢にチャレンジしてみるのか、その判断は最終的には自分自身ですべきだと思います。

今の自分の夢は、50歳までに妻と2人で世界一周旅行をすることです。

先日の新月の夜、澄み渡った星空を眺めていた時に決めました。

こんなに無数の星があるのに、僕らはこの地球というただひとつの星で暮らしている。それならば、生きているうちにせめてこの地球をできる限り楽しめるよう、まだまだ未知の場所、文化、人との出会いを求めて旅に出たい、そう思ったのです。

もしかしたら、積み上げてきた何かを手放し、再び大きな選択をするタイミングが僕にも迫っているのかもしれませんね。

Q1血糖値やケトン体を測るには、どうしたらいいですか?

Aどちらも、いまは個人でも、ずいぶん身近に測れるようになってきました。

血糖値を手軽に見られる方法のひとつが、CGM(持続血糖測定)です。フリースタイルリブレ のように、腕にセンサーを貼っておくと、1日の血糖の動きを連続して見ることができます。同じ食事でも人によって反応が違うことがデータで見えてくるので、「なんとなく不調」の理由や仕組みを具体的に理解できるかもしれません。

僕自身、以前は体を大きくするために、無理にでもどんぶりに大盛りご飯を2杯食べていた時期もありました。でもフリースタイルリブレをつけて測ってみると、ラーメン一杯やお寿司、サンドイッチといった、ごく普通の量の食事でも、血糖値が250mg/dLを超えることに気づいたのです!

一般に、食後1〜2時間で140mg/dL(7.8mmol/L)を超えると食後高血糖(血糖値スパイク)の一つの目安と言われるので、僕にとっては糖質が多すぎたのだと感じました。それからは、血糖値が上がりにくい食材や量、食べ方に気をつけるようになりました。

また、ケトン体は、血液や尿から測れます。この時、血液から測れるのは、もっとも多くエネルギーとして使われる、βヒドロキシ酪酸という種類のケトン体です。近年は、SIBIO のようにケトン体をリアルタイムで測定できる専用のセンサーも登場しています。

数値の目安をいくつか挙げると、ケトン体は、糖質制限による栄養学的ケトーシスでおよそ0.5〜3mmol/L、長めの断食ではさらに高くなることもあり、日常的には0.2mmol/Lほどと言われています。

数字は高ければよいというものではなく、あくまでも体の状態を知る手がかりのひとつです。ケトン体が出やすい血糖値の状態としては、空腹時でおよそ80〜90mg/dLあたりが、ひとつの参考値として語られることがあります。ただ、これは診断や治療の基準ではなく、一般的な目安です。基準値には個人差も大きいので、数値の意味は自己判断せず、気になるときは医療機関でご相談ください。

これらのデバイスは、国によって医療機器としての承認状況や入手方法が異なります(日本では未承認だったり、医療機関を通してのみ入手できるものもあります)。ここでご紹介したのは僕が使った一例で、購入をおすすめするものではありません。ご使用の際は、お住まいの国の規制と、取扱いの説明や医療機関の案内に従ってください。また、インスリンの作用に問題がある方(1型糖尿病など)で、吐き気や嘔吐、強い疲労、頭痛などを伴ってケトン体が高くなっている時は、「ケトアシドーシス」という危険な状態のことがあります。その時は、すぐに医療機関を受診してください。

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※ この内容は、精密栄養学の考え方と筆者自身の経験にもとづく一般的な情報です。病気の有無を判定したり、治療を行ったりするものではありません。体の感じ方や効果には個人差があります。気になる症状がある時は、自己判断なさらず、医療機関にご相談ください。