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INNER TRAVELER Vol.16

裸足のままスーパーに入ってくる街へ

2026年9月20日配信
今週の精密栄養学:夜中に目が覚めがちな人が、食事で気をつけたいこと

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引っ越し先は、オーストラリア東海岸のByron Bay。窓の外からは、一日中波の音が届きます。今年で、オーストラリアに来てから10回目の春を迎えました。

第1章 近況裸足のままスーパーに入ってくる街へ

引っ越しをしました。

オーストラリアで暮らし始めて、今年でちょうど十年になります。その十年前、僕は妻と一緒に、東海岸にあるByron Bayという町を訪れました。

この町に興味を持ったきっかけは、海でした。僕の好きなロングボードにちょうどよく割れる波があり、気候も穏やかで、町並みも洒落ている。そして何より、世界中から集まってきた移住者たちが作る、自由な空気に惹かれたのです。

もともとByron Bayは、ヒッピータウンとして知られた土地です。1970年代、当時の体制になじめなかった人たちが、より自由な暮らしを求めて集まってきました。

岬の突端に立つ灯台は、この町の象徴です。人口はおよそ一万人。ところが年間には、その百倍を超える観光客が訪れると言われています。

とはいえ、ここ数年の変化も大きいようです。かつてヒッピーたちが安く暮らした土地には、いまでは数億はするだろう家が並んでいます。前号で、この土地は誰のものなのかと書きました。その問いを持ったまま、僕はここに住み始めたことになります。

それでも、町を歩けば音楽が聞こえてきます。スーパーマーケットには、裸足や水着のまま入ってくる人も珍しくありません。

そんな「ユルさ」よりも、僕にとってこの町が居心地が良い理由は、そこで暮らす人々にあります。

ここでは、人口の約4割が海外からの移住者。オーストラリアの方々ももともとフレンドリーな方が多いのですが、移住者同士だと、この国で住む立場が近いせいか、なんとなく距離感が自然と縮まりやすい気がします。

引っ越してまだ数日ですが、はっきり分かったことがあります。ノイズの少なさです。

波の音が聞こえ、木の葉を揺らす春先の風が心地よく駆け抜けていきます。家のまわりには、店も広告もほとんどありません。

僕はどちらかといえば、新しいものや強い刺激に手を伸ばしがちで、ドーパミンが優位になりやすい体質です。ところがこの数日、そのゆったりとした空気に体が合わせにいくように、必要以上の刺激や情報を追いかけなくなった気がしています。(引っ越し作業でただ疲れていただけという可能性もありますが 汗)

引っ越したのは、ちょうど新月の日。雨上がりの空には、無数の星が散らばっていました。春を迎えたオーストラリアは、外を歩けばいろいろな草や花の香りがします。そうした五感への刺激が、デジタルデバイスからの刺激と入れ替わって、僕の体と思考をゆっくりと緩めてくれたように思います。

たまに行く仕事のオフィスからは遠くなりましたが、この土地を選んだのは正解だったと確信しています。

この土地で誰と出会い、何を感じて、どう暮らしていくのか。オーストラリア十年目にして、また新しい生活が始まりました。

すでに日本には実家も拠点も、そして両親もいません。ただそこにいるだけで、安心して、心が満たされるような場所。僕にとっては、それがここByron Bayなのです。

第2章 今週の精密栄養学夜中に目が覚めがちな人が、食事で気をつけたいこと

先日、クライアントの方から嬉しいご報告をいただきました。夜中に目が覚めなくなり、朝までぐっすり眠れるようになりました、と。

彼は40代半ばの男性です。仕事も子育ても忙しいなか、運動にも食事にも人一倍気を配っていらっしゃいます。それでも、睡眠だけがずっと悩みでした。

お話を伺って最初に気になったのは、間食の回数です。コーヒーやらお菓子やら、家で仕事をしながら常に何かを口に入れている。おすすめしたフリースタイルリブレで血糖値を測っていただくと、激しいスパイクこそ出ないものの、一日を通じて変動の幅が大きく出ていました。

そこで変えていただいたのは、夕食の取り方、間食の中身、夜の光、夕方以降の飲みもの。この四つだけです。

僕自身も、一度没頭すると区切りがつけられず、夜遅くまでパソコンに向かっている日々がありました。決まった時刻に寝て起きるという当たり前が、どれだけ難しいか。育児や仕事の事情も、人によってそれぞれです。ですからこのご報告は、素直に嬉しかったのです。

今回のLABOでは、日中の血糖の波が、どうして夜中の覚醒につながるのかを整理しました。眠りを促すメラトニンは、同時にインスリンの分泌を抑えます。つまり夜は、同じものを食べても血糖が上がりやすい。これには僕自身もとても驚きました。

今夜どう眠れるかは、日中のあなたの過ごし方で、実はかなりの部分が決まっているのです。

LABO|精密栄養学の研究ノート夜中に目が覚めがちな人が、食事で気をつけたいこと記事を読む →

第3章 Q&A読者の方からのご質問

Q1サービスの利用に興味があるのですが、毎月血液検査を受ける必要があるのですか。

Aご質問ありがとうございます。結論から申し上げますと、血液検査が必須なのは初回だけです。

初回にご提出いただく血液検査データはできれば3ヶ月以内、古くても6ヶ月以内のものをお願いしています。検査の値は季節や体調でも動きますので、あまり時間が経ったものですと、今のお体の状態とずれてしまいます。

そのうえで食事の記録や、運動、睡眠、お持ちならその他のデータ(遺伝子・腸内環境・血糖値など)と合わせて解析し、初回のレポートをお送りします。

二回目以降は、最初にご提出いただいた血液検査データしかお手元になくても問題ありません。毎月の問診票で、当初のお悩みがどう変わったかを詳しく伺います。眠りはどうか、食後の眠気は減ったか、朝の目覚めはどうか。ご自身の感覚は、それ自体がひとつのデータです。

その変化と、続けていただいている記録を合わせて、もう一度解析にかけます。そして、次に何を試すかを決めていきます。こうして少しずつ調整を重ねていきます。

もちろん、毎月血液検査を受けていただけるなら、それがいちばんです。ご提案した食事とライフスタイルの取り組みが、どの数値にどう表れたのかを、その都度確かめられます。数字が動いていく様子は、続けるうえでの励みにもなるはずです。

ひとつだけ、細かいことをお伝えしておきます。血液検査の値は、採血した時刻や、前日に何を食べたかでも動きます。ですから毎月受ける場合は、なるべく同じ時間帯に、似た条件で採っていただくと、前回との比較がしやすくなります。回数を増やすこと以上に、条件を揃えていただくことも非常に大切です。

まとめますと、血液検査は毎月がベスト、必須は初回のみ。二回目からは、お悩みの変化と気になることを都度伺いながら、次の対策を考えていきます。

Q1いろいろな栄養が必要だと分かっていても、仕事が忙しくて自炊する時間が取れません。外食も多く、バランスが崩れがちです。どうしたらいいでしょうか。

Aお気持ちは、とてもよく分かります。僕自身も、仕事が立て込んだ週の食事は、褒められたものではありません。

そういう時こそ、サプリメントの活用を検討されてはいかがでしょうか。

ただし、特定の製品名やその効能を、僕の立場からご紹介することはできません。お伝えできるのは、血液検査のデータと問診票で伺った内容をもとに、どの栄養素が足りていない可能性があるかをご提案するところまでです。

そのうえで、選ぶ時の目安をふたつだけ。

ひとつは、質です。サプリメントは価格も中身も、本当にピンからキリまであります。選ばれるのであれば、少なくとも第三者機関による品質検査を受けたものをおすすめします。

そして、むしろ大事なのはふたつめかもしれません。サプリは足し算だけで考えない、ということです。

以前の僕が、まさにそうでした。血液検査を見て、これが足りない、あれも足りない。ではこれにはこのサプリ、あれにはあのサプリ。そうやって足していくうちに、気づけばかなりの数を飲んでいました。結果として胃腸に負担がかかりましたし、飲み合わせによって互いの吸収を妨げてしまうものもあります。

そして、足す前に見ておきたいものがあります。それは、摂取する栄養素を受け取る側の状態です。

例えば、BUN(尿素窒素)という項目があります。たんぱく質が代謝されてできる物質で、理想値は14〜17mg/dLです。ここが低い時には、たんぱく質が足りていない可能性と、食べていても消化吸収できていない可能性の両方が考えられます。つまり、もしあなたが後者だとすれば、いくら足してもうまく取り込めません。

胃酸や消化酵素が十分に働いているか。腸の状態はどうか。そこが整わないうちにサプリメントを増やすと、負担だけが増えることになりかねません。

また、忙しくて自炊ができない時期に、それでも削らないでいただきたいのは、たんぱく質と睡眠です。この二つが足りないと間食への欲求が強くなり、食事の質はさらに崩れていきます。外食なら定食を選ぶ、卵や納豆を足す、コンビニならゆで卵とチーズを加える。そのくらいで構いません。

サプリメントは、こうした食事の上に乗せるものだとお考えいただくのが良いかもしれません。

Q1夏にたくさん日焼けをしてしまいました。最近はシミや白髪も目立ちます。何か対策はありますか。

Aこちらの質問は、45歳にして毎週末オーストラリアの強い日差しの中でサーフィンに明け暮れる僕にとっても、非常に馴染み深いテーマです!

そのうえで精密栄養学の視点から、お話しできることがいくつかあります。

まず、日焼けとシミと白髪。この三つには、共通して関わっているものがあります。酸化ストレスです。

紫外線が肌に当たると、一重項酸素という反応性の高い酸素が作られ、細胞膜の脂質を酸化させます。シミも白髪も、この酸化ストレスが背景にあると考えられています。

強い紫外線を長年浴びて出てくる色素斑は、そばかすとは別のものです。老人性色素斑と呼ばれます。そばかすは体質で、夏に濃く冬に薄くなります。色素斑は季節では変わりません。

ここからは栄養素の話です。体には活性酸素を消す酵素が備わっていて、それぞれに材料が必要です。最初に働くSODには亜鉛・銅・マンガン、次に働くカタラーゼには鉄、並行して働くグルタチオンペルオキシダーゼにはセレンです。

そして抗酸化は、活性酸素を消すだけでは終わりません。ビタミンCもグルタチオンも、相手を守る時に自分が酸化されます。消した側は、消し終わった時点で使えなくなります。ビタミンEをビタミンCが再生し、そのビタミンCをグルタチオンが再生する。ですから何かひとつを大量に摂るより、互いを立て直せる組み合わせが揃っていることに意味があります。

白髪について、もうひとつ。若いうちの白髪は亜鉛不足と語られがちですが、実は銅の不足も関わっていると考えられています。亜鉛と銅は体の中で競合するので、亜鉛だけを足していくと銅が下がります。しかもSODは両方を材料にしています。理想値も銅80〜120μg/dL、亜鉛90〜120μg/dLと近い。足すというより、釣り合いを見ておきたい項目です。

ここまでの話は、血液検査からもある程度うかがえます。ただし、一般的な検査に酸化ストレスという項目はありません。いくつかを組み合わせて読みます。

消す力が足りているかは、尿酸(理想値4.5〜6.5mg/dL)とγ-GTP(20〜30U/L)で見ます。尿酸は血液中でいちばん量の多い抗酸化物質なので、低すぎると守りが手薄になります。γ-GTPはグルタチオンを再利用する酵素で、基準値の内側でも高めに動いていれば、需要が高いサインです。負荷がかかっているかどうかは、フェリチン(50〜80ng/mL)とCRP(0〜0.05mg/dL)で見ます。ただし、ひとつの項目だけでは決められません。

対策の中心になるのは、ここまでお話しした栄養です。消す酵素の材料である亜鉛・銅・マンガン・鉄・セレンを切らさないこと。そして抗酸化物質を、互いに再生し合える組み合わせで揃えること。まずは、この二つです。

そしてもうひとつ。第2章で触れたメラトニンには、眠りを促す働きとは別に、強力な抗酸化作用があります。日焼けをした日ほど、夜は暗くして眠る意味がここにあります。

最後にひとつ。白髪は不健康の証ではありません。真っ白でもお元気な方は、たくさんいらっしゃいます。ただ、以前より増えたと感じた時は、体からの合図として受け取っておくと、見直すきっかけになります。

なお、急にシミが増えた、あるいは形や色が変わってきたという場合は、栄養の話とは別に、一度皮膚科にご相談ください。

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※ この内容は、精密栄養学の考え方と筆者自身の経験にもとづく一般的な情報です。病気の有無を判定したり、治療を行ったりするものではありません。体の感じ方や効果には個人差があります。気になる症状がある時は、自己判断なさらず、医療機関にご相談ください。