ALPはどこから来る数字か
ALPは、リン酸がついた物質からリン酸を切り離す酵素です。酵素の中に亜鉛とマグネシウムを組み込んで働きます。血液のALPは一種類ではなく、出どころの違うものが合わさった値です。
- 肝臓と胆汁の通り道から出るもの(全体の半分ほど)
- 骨を作る細胞から出るもの(2〜3割)
- 小腸から出るもの(血液型や食事で増える)
- 胎盤から出るもの(妊娠中に増える)
このため、ALPの値は肝臓の状態だけでなく、年齢や骨の状態、妊娠、食事の影響を受けます。
一般の基準範囲と、精密栄養学の目安
| 一般の基準範囲 | 精密栄養学の目安 | |
|---|---|---|
| ALP(IFCC法) | 38〜113 U/L | 63 U/L前後 |
日本では2020年から順次、ALPの測り方がJSCC法からIFCC法に切り替わりました。IFCC法の値は、JSCC法のおよそ3分の1になります。結果票に「IFCC」と書かれているか、基準範囲が100〜300台になっていないかを確かめてください。
ALPは、特定健診や職場の定期健康診断の基本項目には入っていません。人間ドックや医療機関の血液検査で測ることが多い項目です。表の目安は大人のためのもので、成長期の子どもは大人よりずっと高いのがふつうです。
一般の基準範囲は、病気かどうかを分けるための範囲です。精密栄養学の目安は、体が無理なく働いている状態の目安として使っています。
低めのときに考えられる背景
- 亜鉛やマグネシウムが足りない
- たんぱく質や食事の量が少ない
- 甲状腺の働きが落ちている、生まれつきALPを作る遺伝子に違いがあるなど、医療機関で確かめるべき原因
精密栄養学では、ALPの低さを、亜鉛やマグネシウムが足りないサインのひとつとして読みます。ただし、ALPは年齢や体質でも低めに出るため、ALPだけで亜鉛が足りないとは言えません。血清亜鉛を測っていれば、必ず並べて見ます。
高めのときに考えられる背景
- 成長期の子どもや10代(骨が伸びている時期)
- 妊娠の後半(胎盤から出るALPが増える)
- 出産後しばらくの時期や閉経後など、骨の作り替えが盛んな時期
- 脂肪の多い食事のあと(O型やB型の人は、小腸から出るALPが増えやすい)
- 胆汁の流れが滞っている、肝臓や骨の病気など、医療機関で確かめるべき原因
大人で、成長期や妊娠などの理由がないのにALPが高いときは、まず医療機関で原因を確かめます。精密栄養学では、胆汁が滞って脂肪を消化しにくくなっている流れや、慢性的な炎症で骨の作り替えが進んでいる流れも考えます。
ほかの項目と合わせて読む
ALPは、γ-GTPと並べて読むことが多い項目です。二つがそろって高いときは、胆汁の流れを考えます。ALPだけが高く、AST、ALT、γ-GTPがふつうなら、骨の側の動きを考えます。
低めのときは、血清亜鉛とマグネシウムを並べます。精密栄養学では、亜鉛は90〜120 µg/dLを目安に見ます。血清亜鉛は朝に高く午後に低くなるため、採血した時刻も考えに入れます。亜鉛は一般の健診では測らないことが多いので、気になるときは追加で頼みます。
暮らしで見直せること
亜鉛は、牡蠣や赤身の肉、卵、チーズに多く含まれます。マグネシウムは、海藻や大豆製品、ナッツ、緑の野菜からとれます。たんぱく質と一緒に、これらを毎日の食事に入れます。
加工食品に多いリン酸塩は、亜鉛の吸収を下げると言われています。お酒やカフェイン、甘いものの多い食事、強いストレスが続くと、亜鉛は尿から出ていきやすくなります。
ALPは、脂肪の多い食事のあとに上がることがあります。正確な値を知りたいときは、空腹のまま採血を受けます。
亜鉛のサプリメントは、とりすぎると銅が足りなくなることがあります。使うかどうかは、血清亜鉛を測ったうえで、医療機関で相談してください。
医療機関に相談したい目安
- 結果票に、再検査や精密検査の案内がある
- 大人で、ALPが基準範囲を超えている
- 皮膚や白目が黄色い、骨の痛みが続く
- 低い値が続き、骨折しやすい、歯が早く抜けたなどの経験がある
ALPが肝臓と骨のどちらから出ているかは、ALPアイソザイムという検査で調べられます。
よくある質問
ALPが低いと、亜鉛が足りないということですか?
そうとは限りません。亜鉛の不足は背景のひとつですが、ALPは年齢や甲状腺の働き、生まれつきの体質でも低めに出ます。血清亜鉛を測って並べると、確かめやすくなります。
以前の結果より、ALPがずいぶん低くなりました。
2020年から測り方がJSCC法からIFCC法に変わり、同じ状態でも値がおよそ3分の1になりました。前の結果と比べるときは、それぞれの結果票がどちらの測り方かを確かめてください。
一般の基準範囲:日本臨床検査医学会「臨床検査の基準範囲・臨床判断値」(2025年11月)ほか。検査機関によって少し違います。精密栄養学の目安:Nomad Academy の精密栄養学講座の血液検査資料。