クレアチニンとeGFRは何を表す数字か
筋肉の中には、クレアチンという物質が蓄えられています。動き始めたときに、筋肉がすばやくエネルギー(ATP)を作り直すために使う物質です。このクレアチンの一部が毎日ほぼ一定の量ずつクレアチニンに変わり、血液に出てきます。
クレアチニンは腎臓の糸球体でこし出され、ほとんど再吸収されずに尿へ出ます。腎臓のこし出す力が落ちると、血液に残る量が増えます。そのため、腎臓の働きを見る項目として使われています。
eGFRは、クレアチニンの値に年齢と性別を加えて計算した、腎臓がこし出せる量の推定値です。結果票には「推算GFR」と書かれていることもあります。もとになる数字はクレアチニンなので、筋肉の量の影響もそのまま受けます。
一般の基準範囲と、精密栄養学の目安
| 一般の基準範囲 | 精密栄養学の目安 | |
|---|---|---|
| クレアチニン(女性) | 0.46〜0.79 mg/dL | 0.4〜0.8 mg/dL |
| クレアチニン(男性) | 0.65〜1.07 mg/dL | 0.5〜1.0 mg/dL |
| eGFR | 60以上 | 90以上 |
eGFRの単位は mL/分/1.73m²です。日本腎臓学会の慢性腎臓病の分類では、eGFRが60未満の状態が続くことを目安のひとつにしています。60未満が続くときは、医療機関で確かめる目安と考えてください。
一般の基準範囲は、病気かどうかを分けるための範囲です。精密栄養学の目安は、体が無理なく働いている状態の目安として使っています。精密栄養学では、クレアチニンが1.0を超えるときは、脱水や腎臓の働きを先に確かめます。
低めのときに考えられる背景
- 小柄、高齢、運動の習慣が少ないなどで、筋肉の量が少ない
- 食事の量やたんぱく質が少なく、筋肉が落ちている
- 妊娠中で、血液の量や腎臓でこし出す量が増えている
- 筋肉や肝臓の病気など、医療機関で確かめるべき原因
精密栄養学では、クレアチニンの低さを、筋肉の量が少ないことの表れとして読みます。この場合、eGFRは高めに計算されるため、腎臓の働きを実際よりよく見積もることがあります。
高めのときに考えられる背景
- 筋肉の量が多い、筋力トレーニングを続けている
- 激しい運動のあとで、筋肉が壊れている
- 水分が足りず、血液が濃くなっている
- 採血の前日に肉を多く食べた、クレアチンのサプリメントをとっている
- 腎臓の働きが落ちている、服用中の薬の影響など、医療機関で確かめるべき原因
筋肉の多い人は、腎臓に問題がなくてもクレアチニンが高めに出て、eGFRが低めに計算されます。腎臓の働きは、筋肉の量の影響を受けにくいシスタチンCという検査で確かめることもできます。
ほかの項目と合わせて読む
クレアチニンは、尿素窒素(BUN)、CK、尿酸と並べて読みます。BUNとクレアチニンがそろって高めのときは、脱水か腎臓の働きを先に確かめます。クレアチニンはふつうでBUNだけが高めなら、たんぱく質のとりすぎや脱水を考えます。
CKは筋肉に多い酵素で、筋肉が壊れると血液に出てきます。精密栄養学の目安は、女性80〜100 U/L、男性80〜120 U/Lです。クレアチニンとCKがそろって高めなら、筋肉の量が多いか、運動で筋肉が壊れている流れと合っています。
激しい運動を続けている人は、クレアチニン、CK、尿酸がそろって高めに出ることがあります。精密栄養学では、運動そのものより、運動のあとの回復が追いついていない流れを考えます。
暮らしで見直せること
前回の結果と比べるときは、採血の前の過ごし方をそろえます。前日は激しい運動や肉の多い食事を控え、水分はふだんどおりにとります。クレアチンのサプリメントを使っている人は、採血のときに伝えます。
クレアチニンが低めの人は、肉や魚、卵、大豆製品を毎食とり、筋肉を使う時間を少しずつ増やします。階段や軽いスクワットなど、脚の大きな筋肉を使う動きから始めると続けやすくなります。
運動量が多くて高めの人は、休む日を作って回復の時間を確保し、水分をこまめにとれているかも見直します。
医療機関に相談したい目安
- 結果票に、再検査や精密検査の案内がある
- eGFRが60未満の状態が続く、または前回より大きく下がった
- 健診の尿検査で、尿たんぱくや尿潜血を指摘された
- むくみや尿の量の変化、尿の強い泡立ちが続く
- 薬を飲んでいて、eGFRが低めと言われた
腎臓の働きが落ちると、薬が体から出ていくのが遅れることがあります。薬によっては量の調整が必要になるため、処方する医師にeGFRの値を伝えてください。
よくある質問
クレアチニンが低いのは、気にしなくてよいのですか?
腎臓の働きが落ちているときに出る値ではありません。ただ、精密栄養学では筋肉の量が少ないことを考え、食事のたんぱく質や運動の習慣を見直すきっかけにします。急に下がったときは、食事の量が減っていないかも確かめます。
筋トレをしていると、クレアチニンは高くなりますか?
高めに出ることがあります。筋肉の量が多いほどクレアチニンは増え、そこから計算するeGFRは低めになります。気になるときは、筋肉の量の影響を受けにくいシスタチンCという検査について、医療機関で相談してください。
一般の基準範囲:日本臨床検査医学会「臨床検査の基準範囲・臨床判断値」(2025年11月)ほか。検査機関によって少し違います。精密栄養学の目安:Nomad Academy の精密栄養学講座の血液検査資料。