Q遺伝子検査を受けてみたいのですが、値段にかなり幅があります。安いものと高いものでは、何が違うのでしょうか。
A同じ「遺伝子を調べる」と書かれていても、数万円のものから百万円を超えるものまであります。違いを生んでいるのは、どこまで読むかと、どうやって読むかです。一般の方が選ぶ時は、大きく三つに分けて考えると分かりやすくなります。
一つめは、SNPチップと呼ばれる検査です。価格は数万円。人の遺伝情報はおよそ32億文字ありますが、そのうち研究で意味が確かめられた数十万カ所の目印だけを読みます。お酒やカフェインへの強さ、太りやすさといった体質の傾向を知る入り口に向いています。ただし、目印を置いていない場所は見えません。遺伝子の一部がまとまって抜け落ちているような大きな変化も、ここでは見つかりません。自分の遺伝子に興味を持ち始めた方の、最初の一歩としておすすめです。
二つめは、全ゲノム検査のうち、ショートリードと呼ばれる方式です。価格は数十万円から。32億文字すべてを、数百文字ずつの短い断片に分けて読み、あとでつなぎ合わせます。いまの全ゲノム検査の主流で、研究の蓄積もいちばん厚い方式です。苦手なのは、同じ並びが何度も繰り返される場所や、大きな構造の変化です。体質を腰を据えて読み解きたい方に向いています。
三つめは、全ゲノム検査のうち、ロングリードと呼ばれる新しい方式です。一度に数千から数百万文字を続けて読むので、ショートリードが見落としやすい変化まで拾えます。その分、価格はさらに上がります。ただ、2026年のいまは、この方式を使った研究がまだ少なく、読み取った結果の意味を判断しきれないのが実情です。体質を知る目的で個人が選ぶ段階にはまだないと僕は考えています。
全ゲノム検査を選ぶ時に、もう一つ見ておきたいのが、同じ場所を何回重ねて読むかです。30倍と書いてあれば、平均30回読むという意味です。回数が少ない安価なものほど、読み残しが出やすくなります。
そして、どの検査でも最後に差が出るのは、読んだあとの解釈です。第2章のカフェインのように、分解する酵素に何もなくても、受容体の感受性が高ければ一杯で眠れなくなります。一つひとつの結果より、組み合わせをどう読むかが大事です。
遺伝子の結果は、一生変わりません。まずはSNPチップで自分の遺伝子に触れてみるのは、とても良い入り口です。そこから先へ進むかどうかは、関心の深まり次第で構いません。
実は僕自身、全ゲノム検査を受けて、ちょうど結果が出たところです。何が分かって、何が分からなかったのか。再来週以降、少しずつご紹介していきます。
この回答は、メルマガ Vol.17(2026年9月27日配信)のQ&Aからの転載です。からだや食事のご質問は、メルマガへの返信か [email protected] までお寄せください。