Q遺伝子検査を受けるメリットはなんですか。いまひとつよくわからないのですが。
Aご質問ありがとうございます。まだまだ一般的とは言えない遺伝子検査ですから、疑問をお感じなのはごもっともだと思います。
少し整理をさせていただくと、遺伝子検査とはあなたが生まれつき持っている特性を示す「地図」のようなものです。
一方で、血液検査や腸内環境の検査は、あなたが「いまどこにいるのか」を示してくれる現在地にあたります。
地図だけあっても、現在地がわからなければ目的地にはたどり着けません。反対に現在地だけわかっても、地図がなければ、どちらへ進むべきかがわかりません。
この二つを重ねてはじめて、本来のご自身からどれくらい目的地が離れているのか、そしてどのように進んでいけばいいのかが見えてきます。
Vol.11でお話ししたアーユルヴェーダのプラクリティとヴィクリティ、生まれ持った設計といまの状態という考え方も、まったく同じ構造です。
古代インドの枠組みと最新の検査が、同じ視点の知識体系を持っている。これは非常に興味深いと感じています。
その上で、実務的なメリットを三つ挙げます。
①一度調べれば、ずっと使える
いまの体の状態を示す血液検査のデータは、その都度変化します。一方、遺伝子の配列そのものは生涯変わりません。一度調べておけば、この自分の体質や特性などの情報はずっと使い続けることができます。
②「なぜ自分だけ?」の理由が見えてくる
人と同じものを食べて、同じように過ごしているはずなのに、結果が違う。そういう場面の背景には、代謝の個人差が関わっていることがあります。Vol.11でご紹介した僕のCOMTの事例も、そのひとつだと考えていました。自分の遺伝子を理解することは、自分自身をより深く知るための大きな手がかりになります。
③やるべきことに優先順位をつけられる
これが、いちばん実用的かもしれません。世の中には健康法が無数にありますが、そのすべてを試すことはできません。ご自身の弱点がどこにあるのかがわかると、やらなくていいことも自ずと決まってきます。
アルコールやカフェインはどれくらい摂取できる体なのか、花粉やアレルギーに反応しやすいのはなぜなのか、食事を減らしても痩せないのはなぜなのか、その理由を探る手がかりになります。
一方で、注意していただきたい点もいくつかあります。
遺伝子はあなたの運命を「決定」するものではなく、あくまで「傾向」を示す参考情報です。
Vol.12でお話ししたとおり、遺伝子は持っているだけではその通りに働きません。スイッチが入るかどうかは、日々の食事や生活習慣が大きな影響を与えます。
また、ここでお話ししているのは栄養や代謝の傾向を見るための検査であって、病気のかかりやすさを判定する医療的な検査とは別のものです。
そして、何よりいちばん大事なことは、なぜ遺伝子検査を受けるのか、その目的だと思います。
結果を見て、かえって不安になってしまう方もいらっしゃいます。ですから、何のために知りたいのかということを、まずはご自身の中でじっくりと向き合ってみていただければと思います。
検査の値段も方法も、本当に幅があります。地図は、行き先まで決めてくれるわけではありません。ただ、遠回りはずいぶんと減らしてくれるはずです。
取るべき、または控えるべき食事はもとより、人間関係におけるヒントなど。
誰かのための不確かな情報ではなく、あなた自身の中にある設計図と地図を手にして、これからの日々をよりストレスなく、自由にお過ごしいただくための大きな可能性が遺伝子検査にはあると、僕は考えています。
この回答は、メルマガ Vol.13(2026年8月23日配信)のQ&Aからの転載です。からだや食事のご質問は、メルマガへの返信か [email protected] までお寄せください。