第1章 今週の一言44歳の体年齢は36歳、糖化とエピジェネティクス
ここではHSS型HSP(刺激を求めつつ、繊細に感じ取る気質をあわせ持つタイプ)の傾向を持つ筆者が、「常に新たな刺激を求める傾向」と「ストレスや過剰な刺激に疲弊しがち」という相反する気質を持つ自分とどのように向き合い、快適な暮らしとさらなる創造性を実現しようとしているのか、その旅路をリポートしています。
44歳の時、僕の体年齢は36歳と出ました。
これは神宮前統合医療クリニックで血液検査を受けた際に、老化指標としても使われるAGEsという項目もあわせて測ってもらった時のことです。
つまり、実年齢よりも8歳若かったことになります。
逆に、実年齢より20歳、30歳上の数字が出る方も、めずらしくないそうです。
誰しも年齢を重ねれば、体調も体型も変わっていくのは自然な流れ。
ただ、中年期に差しかかると、その進み方には人によって差が出てきます。
そもそもAGEsとは、糖化最終生成物と呼ばれ、体の中で余った糖が、たんぱく質と結びついて変性して糖化し、生成された物質です。
生成されたAGEsは分解されにくく、少しずつ体に溜まっていきます。
あくまでも糖化・AGE蓄積という一側面から見た年齢ではありますが、その溜まり具合から簡易的な老化指標としても使われています。
僕の場合は、日頃から糖質を控えている結果が、この数値に表れているのかもしれません。
もちろん、測る機器や方法によっても出方は変わりますし、この数字ひとつで健康状態が決まるわけでもありません。
それでも、同じ年齢でも体の中の進み方は違うということを、数字で見せられたのは印象に残りました。
さらに自分の体年齢を知る手がかりとして、エピジェネティクスという視点があります。
まず、基本的に遺伝子そのものの並びは、生涯変わりません。
変わるのは、どの遺伝子のスイッチが入っていて、どれが切れているか、というその状態です。
そして、そのスイッチの入り方は、ストレス、有害物質、運動不足、紫外線、睡眠、食事などの環境要因によっても変化すると言われています。
つまり、生まれ持った設計は同じでも、日々の生活習慣や暮らし方によって、遺伝子特性の発現が変わっていくのです。
こうした変化は、肌のくすみや白髪、疲れの抜けにくさ、頭の働きなど、いろいろなことに関わると考えられています。
40代だから太りやすくなるのは仕方ない。
50代だからホルモンのバランスが乱れるのは避けられない。
そう言ってしまうのは、簡単です。
ただ、体の内側でいま何が起きているのかがはっきり見えれば、打てる手も見つかるかもしれません。
年齢のせいだと目を背けてしまう前に、まずは自分の内側の状態を知るところから始めてみませんか。
隣の誰かと比べて一喜一憂するのではなく、自分を深く理解して、過去最高の体調を手に入れる。
そしてその先にある、より自由な未来を創っていくこと。
それが、僕自身が目指していることでもあり、INNERTRAVELER.aiのコンセプトでもあります。
性別や年齢を問わず、何かお悩みをお抱えの方は、どんなご提案ができるか、まずはお気軽にご相談ください。
第2章 今週のテーマ同じ40代でも、進み方が違う。老化のスピードを決めているもの
INNERTRAVELER.aiでは、お悩みの改善や健康増進だけにとどまらず、毎日を快適に、自分らしく創造的な日々を送るためのヒントを精密栄養学の視点からご提供しています。
同じ40代でも、進み方が違う。老化のスピードを決めているもの
第1章で、AGEsとエピジェネティクスという二つの視点をご紹介しました。
どちらも老化を「年齢」ではなく「状態」として捉えるための考え方です。
暦の年齢は、誰でも平等に進みます。
一方で、体の内側で進む年齢には、人によって差が出ます。
普段食べているもの、睡眠の質、ストレス、浴びている光や紫外線など。
そうした日常の積み重ねが、少しずつ差となって、徐々に表面化してきます。
だから、同い年でも、見た目も体力も検査値も、驚くほど違ってくるのです。
そして大事なのは、この差の多くが、いまどのような暮らしをしているかによって大きく左右されるということです。
逆に言えば、あなたに合った適切な対処方法やライフスタイルを見つけられる可能性があります。
今回のLABOでは、体の中で老化がどう進むのか、食事とライフスタイルを整えるとどんな影響があるのか、精密栄養学の視点からご紹介しています。
老化は年齢ではなく、速度|糖化と、遺伝子のスイッチ
LABO|精密栄養学の研究ノート老化は年齢ではなく、速度|糖化と、遺伝子のスイッチ記事を読む →
第3章 Q&A読者の方からのご質問
Q140代後半の女性です。最近、更年期障害かなと思うことがあるのですが、どのように対処すればいいでしょうか。
Aご質問ありがとうございます。
僕の妻も47歳で同じようなライフステージにおり、長くそばでその変化を見てきた立場として、少し実体験を交えて回答させていただきます。
まず、ひとつだけ先にお伝えさせていただきます。
更年期にあたるのかどうか、そしてどう対処するかを決めるのは、婦人科の領域です。
血液検査でホルモンの状態を診てもらうこともできますし、ホルモン補充療法や漢方など、選べる手立ても様々です。
お辛い状態が長く続いているようでしたら、まずは医師の判断を仰ぐことをご検討ください。
その上で僕がお話しをできるのは、あくまでもその土台を支える食事とライフスタイルの部分です。
いちばんお伝えしたいのは、「更年期だから仕方ない」で立ち止まらないでいただきたい、ということです。
ほてり、動悸、疲れやすさ、気分の落ち込み、眠りの浅さ。
この時期に出やすいこれらの症状は、甲状腺の働き、鉄不足、血糖の乱高下、慢性的なストレスなどからも生じる可能性があります。
更年期という言葉は少し包括的で、このライフステージの不調がすべてそこに結び付けられてしまい、本来隠れているかもしれない別の要因を見過ごしてしまうのでは、少しもったいないように思います。
ですから、医師や専門家のアドバイスも仰ぎながら、現状を正しく切り分けることが重要だと考えます。
その上で、まずは体の土台として意識したい点を四つ挙げます。
たんぱく質
ホルモンも神経伝達物質も、ここから作られます。太りたくないとタンパク質を増やすことを避ける方もおられますが、この時期は必要な量をしっかりと確保することが大切です。
鉄
鉄は月経や出産によっても大きく失われます。長年の積み重ねにより貯蔵鉄であるフェリチンの値が今、どのような状態にあるのか、血液検査で一度調べておくと、現在の状態をより正確に把握しやすくなります。
血糖の波
ほてりや動悸、イライラは、血糖の急な上下でも現れます。Vol.10でお話しした食べる順番に加えて、糖質の量や質には意識を向けましょう。まだ試されたことがない方は、フリースタイルリブレで、ご自身の血糖の動きを見てみるのもひとつの方法です。こうした機器は、国によって医療機器としての承認状況や入手方法が異なります(日本では未承認だったり、医療機関を通してのみ入手できるものもあります)。ご使用の際は、お住まいの国の規制と、取扱いの説明や医療機関の案内に従ってください。
筋肉と睡眠
この時期に筋肉が落ちると、その後の十数年の体力に影響を及ぼす可能性があります。また睡眠の質は、翌日の気分の振れ幅を大きく左右します。筋トレと早寝早起きは、今後の体のための「中長期的な資産形成」として、今から習慣化しておきましょう。
このように年齢を重ねると、体だけでなく心にも変化が生じやすくなりますが、それらをご自身だけで正面から受け止めるのは場合によっては難しいこともあるかと思います。
精密栄養カウンセラーの僕であっても、妻のこのセンシティブな時期に、どのようなサポートをするべきか、いつも考えを巡らせています。
男女の体の仕組みの違いもありますし、相手を理解しようと努めても100%は理解してあげられない、その歯痒さも抱えながら、体調やタイミングを見て、栄養や生活習慣の提案をしています。
自分のことは、自分だけでは気づけないことも、少なくありません。
どうかご自身だけでお悩みを抱えすぎず、お早めに周囲の方や専門家へのご相談も、是非ご検討いただければと思います。
Q1一日中、お菓子やコーヒーなど、何かしら食べたり飲んだりし続けてしまいます。昔からの習慣なのですが、どうしたらいいでしょうか。
Aご質問ありがとうございます。同じようなお悩みをお抱えの方は少なくないようです。
正確なデータがない状態では判断が難しいのですが、三つの角度から眺めてみましょう。
ひとつめは、血糖です。
甘いものを口に入れると血糖が上がり、それを下げるためにインスリンが分泌されます。
血糖値は、急に上がれば、その分だけ急に落ちやすくなります。
その谷に差し掛かった時に、また甘いものが欲しくなるのです。
実はこのようなサイクルで、一日中ずっと谷を埋め続けているという現状があるのかもしれません。
ふたつめは、脳のメカニズムです。
人は食べ物を口に入れた瞬間に、脳からドーパミンが分泌されます。
これは満足感を生む物質というより、「もっと欲しい」という状態を生む神経伝達物質です。
作業の切れ目や集中が途切れた時に、なんとなくお菓子に手が伸びる。
その動作と食べた時の快感という報酬が結びついて、習慣として固定されているのかもしれません。
みっつめは、体質です。
ドーパミンを分解して片づける働きには、実は個人差があります。
Vol.11でご紹介した僕の事例のように、COMTという遺伝子がゆっくり型(Met/Metなど)だと、刺激が頭に残りやすいと考えられています。つまり、もっともっとというアクセルが踏まれっぱなしになりやすい可能性があるのです。
そのうえで、対策を三つ挙げます。
一、やめるよりも、置き換える
まずは口に入れるものを、血糖が急に上がりにくいものへ差し替えます。
ナッツ、チーズ、ゆで卵、高カカオのチョコレートなど。
「食べない」と決めるより、「これを食べる」と決めるほうが、無理なく続けやすいことが多いようです。
二、口に入れたものを、記録する。
そして大切な視点とも重なりますが、自分が何を食べているのか、それを改めて正確に眺めてみることが大切です。
そしてできれば、そのあとの体感や気持ちの変化まで書き添えてみることです。
眠くなった。もっと食べたくなった。集中が切れた。落ち着いた。
地道な作業ではありますが、一、二週間も続けていくと、自分の中で、何をどれくらい食べたらどのように体が反応しているのかを客観的に見ていくことができるようになるかもしれません。
それによって現状が整理され、人に言われて何かを半信半疑で変えるのではなく、自分の意志で行動を起こそうとする気持ちが芽生えやすくなるように思います。
三、HRVを確認する
自律神経が交感神経優位に傾いている時ほど、間食に手は伸びやすくなります。
数字が低い時は、まず一分でも、ゆっくりと吐く呼吸を取り入れましょう。
気持ちが落ち着いてから食べるものを選ぶと、選択そのものが変わるかもしれません。
大切なのは、一日中食べてしまう自分を責めるよりも、どのような時に手が伸びてしまうのかを深く理解する方が、ご自身に合った対処方法を見つけられやすいことだと思います。
Q1子どものアトピーがあるのですが、食事やライフスタイルからできることはありますか。
Aご質問ありがとうございます。
実は、僕も幼少期にアトピー性皮膚炎を抱えていました。
特に今のような日本の夏の季節は、暑さで汗をかくと、痒みが止まらなくなりました。
当時の僕は、お尻の部分のアトピーが特にひどく、夏場に座っている時が一番辛かったものです。
治りかけていた傷をまた掻きむしって、血だらけになる。
それを何度も繰り返していたことを、子どもながらに大きなストレスとして覚えています。
ですので、お子さんのことでご心配されているお気持ちに、少しは寄り添えるつもりです。
まず、前提としてお伝えしておきたいことがあります。
お子さんの症状について、まだ受診をされていないようでしたら、まずは皮膚科へのご相談を先にご検討ください。
また、既に処方されたお薬がある場合は、自己判断での中止は避けましょう。
率直に申し上げて、食事やライフスタイルの管理は、治療の代わりにはなりません。
その上で、精密栄養学の視点から、いくつかご紹介いたします。
1. 皮膚は腸の状態を映しやすい
これは精密栄養学でよく言われる見方です。
腸の壁が荒れていると、本来は入らないものが体の中に入りやすくなり、免疫が過剰に反応します。
そしてその反応が皮膚に出てくることがある、という視点です。
2. 何かを足すよりも、合わないものを外す
僕自身の幼少期を振り返ると、思い当たることがいくつかあります。
洋食への憧れが強かった母の影響で、家では必ず朝食にパンとバター、そしてミルクが定番でした。
夕飯には、バランスを考えてトマトなどの野菜もよく出ていました。
トマトは、体質によってはヒスタミンの反応が出やすい食材のひとつです。
また、カップラーメンやシリアルなど、小麦を含むものも好きでよく食べていました。
でも、当時はそれが肌の状態や免疫と関係しているなんて、全く思っていませんでした。
いま同じ場面に立ち会えるなら、主治医と相談したうえで、小麦と乳製品を短い期間だけ減らしてみて、変化があるかを見ると思います。
ただし、このような除去食は、自己判断で長く続けないでください。
育ち盛りの時期に食材を大きく外すことは、栄養面のリスクを伴います。
試すなら短い期間で区切り、必ず主治医や管理栄養士と相談しながら進めてください。
3. 土台を支える栄養素
腸の粘膜や皮膚のバリアに関わるものとして、ビタミンDと亜鉛が挙げられます。
ただし、幼いお子さんへのサプリメントの摂取は、大人以上に慎重であるべき領域です。
まずは食事で補えるものがないか、再度検討してみてはいかがでしょうか。
鮭や鯖などの魚、キノコ類、卵黄などからビタミンDを、アレルギー反応に注意しながら牛肉やカニ・エビなどの甲殻類から亜鉛を摂ることができます。
また、ビタミンDの生成には日光に当たることも有効です。
4. 十分な保湿
地味ですが、ここがいちばん効きます。
皮膚のバリアが保たれていれば、外からの刺激が入りにくくなります。
特に夏場は、汗をこまめに拭く、お風呂の後に保湿剤を塗る、それだけでもずいぶんと変わるはずです。
僕の場合、気づいたらアトピーはいつの間にか治まっていきました。
でも肌の一部には、その跡が少し残っているところもあります。
その跡を今になってふと眺めると、母親と共に試行錯誤を繰り返した当時の日々が、今では懐かしい記憶として心にしまってあります。
もしかしたら、僕が母親から与えられていた食事が自分には合ってなかった可能性も否めません。
ある頃は、患部の肌を太陽に当てたらいいと母親がどこからか聞きつけ、自宅の2階のベランダからこっそりとお尻を太陽に向けていたこともあります。
それが良かったのかどうかは、正直よくわかりません。
でも、そんな中でも母が与えてくれた愛情や、試行錯誤をしてくれたその想いは、今でも胸の奥に深く刻まれているような気がします。
お子さんも親御様も、今の辛さと状態がずっと続くとは限りません。
治りかけた時に掻いてしまうことがあっても、どうかお子さんを責めないであげてください。
焦らずに少しずつ、親子で一緒にこの症状に向き合っていく。
その姿勢が、何よりもお子さんの支えになっていることを、どうか忘れないでいただければと思います。
