Qぐっすり眠れないのですが、どうしたらいいでしょうか。
Aひとくちに「眠れない」といっても、中身はいくつかに分かれます。どれに近いかで、手を打つ場所が変わります。
寝つきが悪い時は、体内時計が後ろにずれているのかもしれません。眠くなる時刻そのものが、遅くなっている状態です。
夜ふかしをすると、眠くなる時刻は簡単に遅くなります。ところが、それを早めるのは一日に1時間が限度です。いつも0時に寝ている方が週末に2時まで起きていたとすると、月曜にまた0時に寝ようとしても、眠くなるのは1時。0時に戻るのは火曜の夜です。
もうひとつ、深部体温が下がりきっていないと眠気は訪れません。眠気は、体温が低い時ではなく、下がっている最中にやってきます。
夜中に目が覚める時は、血糖が関わっていることがあります。寝ている間に血糖が下がると、体はそれを戻そうとしてコルチゾールやアドレナリンを出します。ホルモンの動きは、目が覚めるより数分早く始まります。体が先に動いて、あとから目が覚めるということです。夕食が糖質に偏っている方は、ここが疑われます。
朝、早く目が覚めてしまう方は、まず就寝時刻を確認してみましょう。眠くなる前に布団へ入っていると、朝までもたずに目が覚めます。
もうひとつは、体内時計が前へずれている場合です。年齢とともにその傾向は強まりますし、朝ばかり光を浴びて夕方以降が暗い生活も、同じ方向へ作用します。この場合だけは、朝の光を増やすより、夕方に明るさを増やす方が適切です。ただし、気分の落ち込みも続いているようなら、生活習慣の話だけではないかもしれませんので、医療機関への相談をご検討ください。
睡眠時間は確保できているのに疲れが取れない、というケースもあります。ここで見るのは眠った長さではなく、眠っている間に体が回復モードへ入れているかどうかです。
眠っている間、ブレーキ役の副交感神経が優位になって、はじめて体の修復が進みます。ところが、日中の緊張が夜まで続いていると、横になっていても交感神経が優位なままで、時間だけが過ぎていきます。HRVが低い(=心拍のゆらぎが小さい)のは、この状態です。
ここで効果的なのが、呼吸です。ゆっくり長く吐く呼吸は、副交感神経を自分の意思で活性化できる方法です。1分間に5〜6回ほどのペースで、寝る前に数分。あわせて、就寝前3時間以内のアルコールは避けてください。寝つきは良くなりますが、その後の回復を妨げます。
眠っている間は、長い絶食時間になります。もともと蓄えの少ない方は、夜のうちにエネルギーが底をつき、体が筋肉を分解してしのぐことがあります。朝、起きた時点でもう疲れている体感がある方は、ここが疑われます。
いびきや日中の強い眠気をともなう場合は、睡眠時無呼吸の可能性もありますので、こちらは一度、医療機関にご相談ください。
そのうえで、どのタイプにも共通してやっておきたいことが四つあります。
ひとつめは、起きる時刻を揃えること。寝る時刻はその日の都合で動きますが、起きる時刻を固定しておけば、時計の起点は動きません。
ふたつめは、朝、一度外に出ること。室内は100から300ルクスほどですが、曇りの日でも屋外は1,000ルクスを超えます。桁が違います。
みっつめは、運動を朝か午後の早い時間にすること。光が効きにくい午後にも、運動なら時計を前へ進められることが分かってきました。反対に、夜7時から10時の運動は、時計を後ろへずらします。
よっつめは、入浴を就寝の1〜3時間前にすること。湯につかると手足から熱が逃げて、そのあと深部体温が下がっていきます。
最後に、食事のことをひとつ。夕食を糖質だけで終えないことです。たんぱく質と脂質を添えるだけでも、夜中の血糖の落ち込みが緩やかになります。Q1でお話しした血糖の波は、夜にも続いています。
まとめると、寝るという行為は、夜に始まるのではなく、朝に目が覚めた時から始まっているのです。
この回答は、メルマガ Vol.15(2026年9月6日配信)のQ&Aからの転載です。からだや食事のご質問は、メルマガへの返信か [email protected] までお寄せください。